格安の赤坂宿舎、議員負担4分の1---公務員宿舎と連動の法令根拠なし
衆院赤坂議員宿舎(東京都港区)の家賃が4月から値下げされた問題で、長年にわたり政官一体で「特権」が維持されてきた実態が明らかになってきた。税金で賄われる維持管理費が年間約8億2千万円なのに対し、議員の負担は約3億5千万円。野田佳彦首相は、消費税増税を含む社会保障と税の一体改革に関する国民対話集会で「議員の身を切る覚悟もしっかりやっていく」と強調しているが、国会議員側から「特権」見直しの機運は出ていない。
◆今月から値下げ
都内4カ所にある国会議員宿舎の格安ぶりは表の通り。4月から赤坂宿舎が約8千円、衆院青山宿舎(東京都港区)が約1400円値下げされた結果だ。ある不動産コンサルタントは「賃貸マンションで、管理者が自発的に家賃を値下げするケースはあまりない」と指摘する。
衆院事務局によると、赤坂宿舎に入居する全議員が平成23年度に国庫に納めたのは約3億5400万円。月約9万2千円だった家賃と月約2万円の駐車場代の総額だ。一方、赤坂宿舎の関係経費として同年度予算に計上されたのは償還費も含め12億2400万円。議員の自己負担は24年度に清掃・警備などに使われる「維持管理運営経費」の半額にも達していない。
◆公務員宿舎と連動
衆院事務局によると、議員宿舎の家賃は、衆参両院とも国家公務員宿舎法に準じて公務員宿舎と同様の扱いとなっており、経年劣化を踏まえて5年ごとに引き下げている。
衆参両院の議院運営委員会は昭和59年2月、議員宿舎の家賃は国家公務員宿舎の5%上乗せとすることを決めた。以降、その原則は見直されていない。宿舎という福利厚生面で、国会議員は国家公務員とほぼ同様の処遇を受けているため、「政治主導」で公務員宿舎の厚遇ぶりをチェックしづらい構図になっている。
消費税増税を国民に訴える野田首相が暮らす首相公邸も、家賃や修繕費だけでなく電気、ガス、水道代などの光熱費も無料だ。
民主、自民、公明3党の実務担当者は12日、議員歳費を2年間で540万円削減することで合意した。しかし、議員宿舎に入居する議員には民間マンションに住む場合に比べて多額の恩恵があり、歳費の減額も「特権」の一部を一時的に返上する程度といえる。(小田博士)
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