「軽薄」 金原ひとみ 新潮社 2016.2.25
十大の終わりに、ストーカーと化した元恋人に刺された過去を持つカナ。
29歳の今、裕福な年上の夫と幼い息子、仕事での充足も手にし、みたされた日々を送っていた。
そこに、アメリカから姉一家が帰国。未成年の甥から、烈しい思いを寄せられる。危うさを秘めた甥との破滅的な関係……
近親の男女関係は禁断とされている。
思い出せば中学生のとき、島崎藤村と姪の関係を知って、藤村の作品すらおぞましく思ったものだった。
でも、古代天皇家などでは、そんな話がゴロゴロあって、母が同じでなければ、異父の兄妹間というのも珍しくなかったわけだ。
遺伝子か何かに起因して、ごく身近な血縁では、薄弱な要素が現れるということが経験論的にわかって、近親相姦が厭わしいものになったのだろう。
そういう意味で、完璧とは対極にあたるかも。
気持ちよく読めたとは言えないが、
なるほどこんな描き方もアリか……