ま、いいか

日々の徒然を思いつくままに。

「くもをさがす」

2024-07-31 07:02:09 | 

 

「くもをさがす」 西加奈子 河出書房新社 2023.4.20

 

バンクーバーで乳ガンになった西加奈子のノンフィクション。

両乳房切除手術が日帰りなのにビックリ。

 

 

私は闘病、という言葉を使うのをやめていた。「病気をやっつける」という言い方もしなかった。これはあくまで治療だ。闘いではない。たまたま生まれて、生きようとしているがんが、私の右胸にある。それが事実で、それだけだ。

 

「がん患者にやからって、喜びを奪われるべきやない。」

 

東京では(略)「太るな」「老けるな」「ムダ毛を生やすな」、そんな風に、あらゆるNGを突きつけてくる広告を目にした。そしてそれらを見ているだけで、身体で騒音を感じていた。

 

もしがんになってしまったのなら、それはもう、そういうことだったのだ。誰にも起こることが、たまたま自分に起こったのだ。

 

(日本にいたら)

自分たちで何とかしないと、それも、家族のことは家族だけでなんとかしないといけない、という考えが、私たちの心身に染み付いているのだ。そしてそれは、日本の政治家が我々を家族単位で扱うことと、もちろん無関係ではない。

 

会社や組織を代表して自分が謝る、という概念が、こちらの人にはないのだと思う。何故なら彼らには、彼らの給料に見合った仕事がある。自分たちの仕事を全うしている限り、彼らに責任はないのだ。

 

身体的な特徴で、自分のジェンダーや、自分が何者であるかを他社に決められる謂れはない。自分が自分のことを女性だと思ったら女性だし、男性だと思ったら男性だし、女性でも男性でもどちらでもないと思ったら、女性でも男性でもない。私は私だ。「見え」は関係ない。自分自身がどう思うかが大切なのだ。

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