「カモナマイハウス」 重松清 中央公論新社 2023.7.25
不動産会社で空き家メンテナンス業に携わる水原孝夫。
妻・美沙は、両親の看取り後、怪しげな「お茶会」にハマっており、31歳になった元戦隊ヒーローの息子の将来も心配だ。
そんなとき、美沙の実家が、気鋭の空間リノベーターによる「空き家再生プロジェクト」の標的になるのだが……
全国の空き家が、2018年の時点で849万戸。
空き家率は13.6%だ。
自分の家で生活を営んでいると、空き家になった実家は無用の長物ということが多い。
実家への思い入れがあるこの作品の美沙のようではなく、処分したくても、解体はお金がかかるし、田舎などは買い手が見つからない。
現実の問題点をあれこれ思い浮かべた。
P122
息子を親の思い通りにしようなんておこがましい、親の役目は転ばぬ先の杖を差し出すんじゃなくて、転んだあとで立ち上がるのを見守ることだ、やった後悔よりもやらなかった後悔の方が苦いんだから……
P161
「ココロの穴を埋めようと思ったら、なんでもいいから『押し』をつくるんだって。それが一番手っ取り早くて、確実なんだって」
P167
「五十過ぎたらタッチで十分」「手つなぎはグー、タッチはパー、パーはグーより強いの」「相方がいなくなったら一人でタッチ、すなわち合掌、仏壇の前で拝んであげなさい」
P185
「あなたは、あの子のことをたくさん心配してくれるけど、あんまり信じてあげてないのよねえーっ」
親子、夫婦、家族……
頷いたり、やはりお話だよなぁと思ったり、
さすが重松さん、一気に読んだ。