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食・飲・読の日記

日々の食べたり読んだりを綴ります♪

花桃実桃@中島京子

2014-04-16 15:58:34 | 本(な)
  花桃実桃@中島京子 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
40代シングル女子まさかの転機に直面す。昭和の香り漂うアパートでへんてこな住人に面食らい来し方をふり返っては赤面。行く末を案ずればきりもなし…ほのぼの笑えてどこか懐かしい直木賞作家の最新小説。




43才の茜が考えることが、私自身とタブって共感しながら読みました。これまでの生き方は果たしてよかったのか? 40代、若くもないけど年寄りでもない。結局老いは訪れる。母親にはなれないと思っていた。人間はみな平等に鬼籍に入る。などなどなどなど‥
茜は父親の残したアパートの管理人になって住人達と関わり、管理人としての自分もアパートも好きになり、幸せを感じます。その幸せは絶対とは言えないけど、自分の人生を大事に一生懸命生きようとする茜のたくましさ・力強さをうらやましく、また賛同したく思いました。
突拍子もない考えに飛躍するのが得意な茜、とても面白いです。笑っちゃいます。また、くせものぞろいの住人達もそれぞれ個性的で面白いです。住人には幽霊までいます! 花桃実桃というだけあって、庭の花や花桃は美しい描写がなされています。とても温かい気持ちになる、大好きな1冊となりました

いちばん長い夜に@乃南アサ

2014-03-12 08:22:36 | 本(な)
  いちばん長い夜に@乃南アサ 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
前科持ちの刑務所仲間―それが芭子と綾香の関係だった。“過去”に怯えながらも、東京の下町に居場所を見つけて、ゆっくりと歩き始めた時、二人は自分たちの大きな違いに気づき始める。人を殺めるとは何か。人が生きていくとは何か。亡くなった人間が残すものとは何か。そして、いつか、彼女たちの長い夜は明けるのだろうか?受苦の時代に暮らす全ての日本人に贈る、感涙の大団。




「いつか陽のあたる場所で」「すれ違う背中を」の続編です。その感想文はこちらこちら
あぁ、なんと書いたらいいか難しいです。6編が収められています。最初の3編は、芭子ちゃんが自分の力で歩き始めてるな、落ち着いた女性になってきているなとほんわか温かい気持ちになりました。その芭子ちゃんがよりにもよって仙台に行っているときに、東日本大震災に見舞われます。いくらしっかりしてきていると思っても、そこは芭子ちゃんのことが心配で。何より地震の様子が、刻一刻とリアルに感じられ、当時の様子が生々しくよみがえり、胸が締め付けられる思いがしました。作者あとがきによると作者の実体験だったそうで、その生々しさの正体を知りました。東日本大震災をきっかけに、芭子ちゃんと綾さんの関係も変わってきます。もちろん日本中の人の生活・環境・関係が何かしらの形で変わったように。物語では、綾さんの本当の心の内が語られ、私の心も締め付けられました。芭子ちゃんも綾さんも、他人に前科のことを話す心の強さ・覚悟を持ち、1日1日を過ごしていくことの大切さを確認しています。その大切さは、普通に暮らしていると忘れがちですが、2人を通じてこの物語を通じて、改めて思い出させてもらえました。2人の、そして生きているすべての人の幸せを祈りたくなる、そんな物語でした

被害者は誰?@貫井徳郎

2014-02-26 17:43:32 | 本(な)
  被害者は誰?@貫井徳郎 

あらすじ(文庫本背表紙より)
豪邸の庭に埋められていた白骨死体は誰なのか?犯人が黙秘を貫く中、警察は押収した手記をもとに、被害者の特定を試みるが…。警視庁の桂島刑事から相談される、迷宮入り寸前の難事件の数々。それを解き明かすのは、頭脳も美貌も態度も規格外のミステリー作家・吉祥院慶彦。痛快無比!本格推理の傑作。




被害者は誰?目撃者は誰?探偵は誰?名探偵は誰?の4編が収められています。タイトルだけで、犯人を捜す普通のミステリーじゃないことがわかります。どの作品もどんでん返しがあり、最初の作品で「えっ!」と驚かされ、もう二度と騙されないと思って読んでいるのに、まんまと騙されて読みました。楽しみました。種明かしをされてもなお、私の頭の中は「???」なんてことばかり。騙された内容が、頭の中にはびこって、すんなり種明かしを受け入れられないのです。私の頭が悪いとしても、そのどんでん返しっぷりは見事でした! 刑事と探偵役の作家のやりとりは、作家が刑事を馬鹿にするパターンなのですが、ユーモアがあり声を出して笑っちゃいました。探偵役の作家はちょっと先走ったり、間違ったりすることもありますが、それでもその視点は鋭く、テンポよく読み進むことができました。ミステリー要素が強く、その中にユーモアもあり、おもしろい作品でした

すれ違う背中を@乃南アサ

2014-02-10 18:09:01 | 本(な)
  すれ違う背中を@乃南アサ 

あらすじ(文庫本背表紙より)
パン職人を目指して日々精進する綾香に対して、芭子はアルバイトにもなかなか採用されない。そんなある日、ビッグニュースが!綾香が商店会の福引きで一等「大阪旅行」を当てたのだ。USJ、道頓堀、生の大阪弁、たこ焼き等々初めての土地で解放感に浸っていた彼女たちの前に、なんと綾香の過去を知る男が現れた……。健気な女二人のサスペンスフルな日常を描く人気シリーズ第二弾。




「いつか陽のあたる場所で」の続編です。その感想文はこちら
刑務所を出てきた2人が、自立をめざし、お互いを思いやって生活をしているその様子に凛としたものを感じました。描かれているのは普通の生活、その生活を送っているのが罪を犯したことのある人だと、その普通がいかに難しいか考えさせられました。「梅雨の晴れ間に」で芭子はジェットコースターに乗って”生きてる”と感じる。綾香は明るく振舞っていても、寝ているときにうなされている。そんな2人の様子に、罪を犯した事実は生活に影を落とし、心に影を落とすんだと認識させられます。
でも2人は前を向いて生きています。やりたい仕事も見つけ、夢も持ってています。お互いを思いやっています。その姿勢に深く感銘し、エールを送りたくなるのです
また、ぽっち(インコ)の様子や季節の描写が色彩が見えるようで、とても素敵でした

要介護探偵の事件簿@中山七里

2013-12-18 08:34:08 | 本(な)
  要介護探偵の事件簿@中山七里 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
反骨精神をモットーとする香月玄太郎は、不動産会社を興し一代で成功を収めた社長。下半身が不自由で「要介護」認定を受けている老人だが、頭の回転が早く、口が達者。ある日、彼の分譲した土地で建築中の家の中から、死体が発見された。完全密室での殺人。お上や権威が大嫌いな玄太郎は、警察が頼りにならないと感じ、介護者のみち子を巻き込んで犯人捜しに乗り出す。完全密室の殺人、リハビリ施設での怪事件、老人ばかりを狙う連続通り魔、銀行強盗犯との攻防、国会議員の毒殺事件など、5つの難事件に挑む連作短編ミステリー。




自分の信念に従って行動する玄太郎さん。とっても口が悪くて、怒鳴るし、自分勝手に思えちゃうけど、周りの人々もそんな玄太郎さんを愛し、頼りにしています。玄太郎さんが口にする「くそだわけ」は名古屋弁。実家が名古屋の私、「たわけ」は聞いたことあるけど、「くそだわけ」なんて迫力あるのは聞いたことがありませんが、玄太郎さんの名古屋弁も読みどころのひとつでした。どの短編もおもしろく、中でも私は「要介護探偵と四つの署名」が好きです。まずはタイトルがすてき。わはわは笑いながら読んでしまいました。銀行強盗を人質になっている状態で解決してしまう玄太郎さんの頭の良さ、人間観察力、すごすぎます。
この本が、「さよならドビュッシー」につながるというのは知っていたけれど、最後まで読んでやっと、岬先生が「さよならドビュッシー」のの岬先生だと気づいたのは我ながら遅すぎっと突っ込んじゃいました