彼女はとうとう星になってしまいました。
一見すると褐色でラブラドールにしては大きく土佐犬のようであった彼女ですが、その表情はいつも穏やかで優しい瞳をしていたような気がします。
エルは管理人の家から300㍍ぐらい離れた先に住まうご近所の犬でした。スナックの店先で放され、行き交う人をじっと見ていた看板娘でした。
エルと出会った当時、彼女を土佐犬系の犬だと思っていた私は触れることもできずに顔だけ彼女の方にやりいつも通りすがるばかりでしたが、彼女が吠えるのを一度も見たことがありませんでした。頭を撫でてやるようになって暫くしてからうちにタマが来ました。ご近所デビューのためにタマを連れてエルの所にいった時にも、タマはダメ犬全開で吠えまくっておりましたが、彼女は気にせず余裕で近寄ってきてくれました。やはり吠えませんでした。飼い主さんも本当におとなしい犬なのよと言っていたのがよくわかりました。
そんなエルがある時からよくなき始めました。遠吠えといったものではありませんが、とにかく少し高めの声を出してしきりに飼い主さんを呼ぶのですね。様子をうかがうと老齢のため「子どもがえり」しているということでした。そのうち甘えてなくことも止みました。大嫌いな花火や雷の音さえも聞こえなくなってしまったのと同じ時期だったようです。
それから3年、酷暑の夏、台風の多かった夏を過ぎて「頑張って夏を越せたね」と彼女の側を通るたびに声をかけていたのですが、今年の夏が来る前にとうとう逝ってしまいました。先月の事だったそうです。
タマにも
「エルちゃん、死んでしもうたんよ」と伝えましたが、わかるはずもなく…
熱いぐらいの生きてるタマの温もりを感じながら、いつかやって来るタマとの別れの時を考えたり、純粋にエルの死を悲しんだりと、知らせを聞いた昨日は考えるところが多かったですが、今日になって落ち着き、やはり書き残したいと思ったので文章にしてみました。
R・クレイダーマンのアルバム「綿の国星」の中にオリヴィエ・トウッサン作曲の彼女と同名の「ELLE」という作品があります。風を受けながら空を駆けるような爽快感溢れる楽曲を思い出しながら、空のどこかで彼女の魂も駆けていてくれればと思っています。
「ELLE」とはフランス語で「彼女」の意。彼女はきっと心の中で駆け続けてくれるでしょう。
一見すると褐色でラブラドールにしては大きく土佐犬のようであった彼女ですが、その表情はいつも穏やかで優しい瞳をしていたような気がします。
エルは管理人の家から300㍍ぐらい離れた先に住まうご近所の犬でした。スナックの店先で放され、行き交う人をじっと見ていた看板娘でした。
エルと出会った当時、彼女を土佐犬系の犬だと思っていた私は触れることもできずに顔だけ彼女の方にやりいつも通りすがるばかりでしたが、彼女が吠えるのを一度も見たことがありませんでした。頭を撫でてやるようになって暫くしてからうちにタマが来ました。ご近所デビューのためにタマを連れてエルの所にいった時にも、タマはダメ犬全開で吠えまくっておりましたが、彼女は気にせず余裕で近寄ってきてくれました。やはり吠えませんでした。飼い主さんも本当におとなしい犬なのよと言っていたのがよくわかりました。
そんなエルがある時からよくなき始めました。遠吠えといったものではありませんが、とにかく少し高めの声を出してしきりに飼い主さんを呼ぶのですね。様子をうかがうと老齢のため「子どもがえり」しているということでした。そのうち甘えてなくことも止みました。大嫌いな花火や雷の音さえも聞こえなくなってしまったのと同じ時期だったようです。
それから3年、酷暑の夏、台風の多かった夏を過ぎて「頑張って夏を越せたね」と彼女の側を通るたびに声をかけていたのですが、今年の夏が来る前にとうとう逝ってしまいました。先月の事だったそうです。
タマにも
「エルちゃん、死んでしもうたんよ」と伝えましたが、わかるはずもなく…
熱いぐらいの生きてるタマの温もりを感じながら、いつかやって来るタマとの別れの時を考えたり、純粋にエルの死を悲しんだりと、知らせを聞いた昨日は考えるところが多かったですが、今日になって落ち着き、やはり書き残したいと思ったので文章にしてみました。
R・クレイダーマンのアルバム「綿の国星」の中にオリヴィエ・トウッサン作曲の彼女と同名の「ELLE」という作品があります。風を受けながら空を駆けるような爽快感溢れる楽曲を思い出しながら、空のどこかで彼女の魂も駆けていてくれればと思っています。
「ELLE」とはフランス語で「彼女」の意。彼女はきっと心の中で駆け続けてくれるでしょう。