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銀塩APSで悪い画質が何故デジタルDXは良いのか

2007-12-22 12:16:48 | Weblog
銀塩フィルムの頃は
「フィルムサイズが大きいほど画質が良く、フィルムサイズが小さいほど画質は悪い」でした。

これは、鑑賞サイズが一定ならフォーマットサイズが小さければ拡大率が大きくなり僅かな画質差が拡大されることや、
フォーマットサイズが小さいとレンズの解像度の限界を超えること等が理由でした。
現に、私自身もフィルムの頃は良く経験しています。


ところが、デジタルでは必ずしもそうではないことが分かりました。
今まで撮った画像を比較する限り、D3とD300でほぼ同等の画質だったからです。
微妙な差はあっても、少なくともフィルムで経験したような、一目瞭然の明らかな差はありません。
目を凝らしてわかるかわからないか・・・ということ自体が脅威的です。


その理由がようやく分かりました。(既に関係者にとっては当たり前かもしれませんが)
それは、フィルムとデジタルの鑑賞手段の相違です。

フィルムの鑑賞方法は、印画紙に引き伸ばしてプリントするか、ポジをルーペで見たりプロジェクターで投影する方法です。
一方、デジタルではプリンターで印刷するか、モニターで見る、のいずれかです。

両者には決定的な違いがあります。
フィルムでは、必ず鑑賞前に「拡大レンズ」を通ることです。
印画紙に引き伸ばす時は、「引き伸ばしレンズ」を使います。
ポジを見るには、「ルーペ」か「プロジェクターのレンズ」を使います。
全て「拡大レンズ」です。

拡大レンズは、撮影レンズに比べれば枚数も極端に少なく(ルーペなんかは1枚)、性能も撮影レンズほどではありません。
いくら優秀な撮影レンズで超微細フィルムに記録しても、そのネガやポジから拡大する時に画質は落ちるわけで、
極論すれば、銀塩フィルムの画質は引き伸ばしレンズで決まるわけです。
そして、APSでは引き伸ばし倍率が大きくなり、引き伸ばしレンズの性能限界を超えてしまったのです。
特に、ネガの同時プリントは最悪で、本来引き伸ばしレンズを絞って画質を上げるべきところ、
露光時間の短縮のため開放で露光するというとんでもないことが半ば普通だったとのことです。
(仮にF8で60秒のところ、F3.5なら10秒となり、同じ稼動時間で処理枚数が6倍になる)
(最近ではネガをスキャンしてプリンターで直接印刷しますが、それで実際に画質が良くなっていることで上の議論の正しさが分かります。)

一方、デジタルでは、鑑賞時にはレンズ等の光学系を通りません。
プリントするにもデジタルデータに従って直接インクを制御しますし、
モニター鑑賞も(液晶がほとんど)、画素の位置のドットを直接制御します。
つまり、鑑賞時に画質が劣化する光学的な要素がないということです。
このため、デジタルでは元データの画質をそのまま表示可能です。

そして、現状の画素数においては、撮影レンズの性能はDXフォーマットでも十分な性能を持っています。
従って、撮影データ自身の画質では、FXとDXにほとんど差がないわけで、
鑑賞する際の劣化がないことと合わせて、FXとDXでほとんど差がないわけです。



多少、長くなりましたが、整理すると。
1.撮影レンズの性能上は、センサーに記録される画質としてはFXもDXも差がない。
2.銀塩フィルムでは鑑賞用拡大レンズの拡大率の違いで画質に差が付いていたが、デジタルではそれがない。
3.従って、現状はデジタルのFXとDXで画質差がほとんどない。

以上は、D3とD300の両方を買って、いろいろ撮り比べながら私が独自に考察した結論です。
デジタルでは、「(撮影レンズの画質の範囲内のサイズであれば)フォーマットサイズは画質に無関係である。」
ということです。
(ただし、解像度は画素数やソフトの要素があり、以上の議論は、画素数一定でセンサーサイズのみ違う場合です。)

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1 コメント

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補足 (デジ)
2007-12-22 19:22:01
念のため補足すると、撮影レンズの画質がAPSに耐えられても、
フィルムの能力がAPSサイズでは不足している場合があればやはりダメです。
デジタルではあくまで同じ画素数での比較なので、センサーの能力は同一というわけです。
もちろんノイズの問題のない低感度の話です。
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