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現像ソフトはレタッチソフトではない(NX2異論)

2008-06-03 20:59:30 | Weblog
CaptureNX2が出るようですが・・・
また同じことの繰り返しでしょう。

なぜならニコンともあろう会社が、写真の現像ソフトの本質を理解していないからです。

銀塩フィルムを見てください。
写真フィルムの現像は、36枚の一連のフィルムを、同じ現像液・温度・時間、つまり常に同一条件で現像します。
(切り現等の細かいことは別として)
つまり、「多数の写真を同一条件で一気に現像する」というのが写真の根源的な発想です。
なぜなら、撮影時がそれを前提としているからです。
写真は、同一場所、条件で何枚もシャッターを切ります。
なので、必然的に同一設定で多数現像することになるのです。

ニコンの現像ソフトも、以前のNikonCapture4はそうでした。
ホワイトバランスや露出補正を同一にして、同一フォルダ内のファイル全部、あるいは選択した画像を、
最初の1枚の設定のまま一気にかつ「軽快に」現像出来ました。

ところがCaptureNXではそれが困難になった。
少なくとも軽快ではなくなった。
代わりに、一枚を時間をかけてあれこれレタッチすることが得意になった。
つまり、現像ソフトではなく、レタッチソフト、つまりCGソフトになったわけです。

写真は原理的に、1枚をレタッチで細かく調整し、追い込んで完成させるものではありません。
なぜなら、写真は光学的な真実をありのままに写したものだからです。
私たちは、例えば風景を撮影するときには「美しいと感動した風景」を写すでしょう。
モデルさんであれば「かわいいと感動した瞬間」を写すでしょう。

つまり、写真を趣味とする人は、写して終わり、が本能なんです。
写すまでは被写体をあれこれ時間をかけて探します。
つまり、構図が良くても色が悪ければパスする等、そのまま撮りたいと思うものを探すわけです。
これはというものを見つけたらそこで初めて何枚も撮る。
だから現像ソフトもバッチが基本なんです。


仮に、時間をかけて修正して仕上げるのが自分の感覚に合っている、という人がいるとすれば、
その人は写真ではなく、絵をやっているでしょう。
あるいは、CGをやっているでしょう。
CGでは写真は単に素材の1つです。
だから、少々余計なものが写っていてもいいし、色が多少悪くてもいい。
それを元にレタッチというか、修正、お絵かきするからです。

「綺麗な被写体を探して歩き回り、出会ったら何枚も写真を撮る」というのが写真好きな人。
「使えると思えばとりあえず撮っておいてあとでじっくり時間をかけて仕上げる」のが好きな人は絵を描くのが好きな人です。

このように、写真が好きな人の本質を取り違えているのが、CaptureNXの開発者であり、
そのコンセプトを良しとして採用した(NikonCapture4を捨てた)ニコンです。

どうせNX2になっても、その本質が変わらない以上、
バッチは使いにくく、何も修正しないで現像しただけでRAWファイルのサイズが約1.3倍になるというおかしなソフトが直るとは思えません。

いずれ、NX2もNX3になるか知りませんが、使い勝手が向上した頃にはNXシリーズも捨てられ、
例えばNZか何かになって使い勝手がダウンするんでしょうね。
NC4がNXになった時のように・・・