宝満山研究会(山岳宗教遺跡の保全と研究)

大宰府の北東に聳える宝満山の歴史的価値を掘り起こし、山の保全を考える会です。

宝満山と白山3

2007-09-16 | Weblog
白山妙理権現と玉依姫命


(だんだん素人が首を突っ込むと危ない領域で
神道体系でも引っ張り出さないとまずい
とは知りつつ・・・)

『厳島大明神日記』の成立背景については
不勉強で明確ではないが少なくとも鎌倉期の成立とされる。
少なくとも岩清水八幡宮や比叡山延暦寺の
地方進出が完了した時期以降のことであることは間違いない。

厳島大明神は『日記』によれば「尺加羅龍ノ次ノ娘
八歳ノ龍女ニハ妹神宮皇后淀姫ニハ姉也」とされている。
一方、竈門宮の玉依姫命は『八幡宮宇佐宮御託宣集』(鎌倉後期)
などによれば「娑竭羅龍王」娘五人中の次女(長女は八歳龍女)に
位置づけられている。)

この背景には龍王を象徴とする水の祭祀を
強く意識した関係性を読み取るべきであろう。

泰澄上人の夢想に登場した「白山妙理大菩薩」は、
白山山頂下の池で「九頭竜」となる説話が『泰澄和尚伝』
(正中二(1325)年以前成立)に見られ、
ここでも龍を媒介とした水の神の姿が垣間見える。

厳島の祭神は宗像三女神(市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命)
であり神道では海上交通を司る位置づけであり、
祭神のうちの市杵島姫命は天台宗にあっては
本地が「弁財天」に比され
各所の天台系、八幡宮系寺社内では水源地に
頻繁に勧請されている神である。

白山から発した水流は富山県の庄川、
岐阜県の長良川、福井県の九頭竜川、
そして石川県の手取川となり中部北陸の
両平野を潤す源となっている。

宝満も宝満川は南流して筑後平野を下り有明海に
御笠川は北流して福岡平野を経て玄界灘に注ぐ。

「水配り(みくまり)」の神としての存在
これが白山と宝満(竈門)の神に共通して仮託された
信仰の実態の一つの柱ではなかったか?


石川県白山市手取渓谷


(つづく)

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