宝満山研究会(山岳宗教遺跡の保全と研究)

大宰府の北東に聳える宝満山の歴史的価値を掘り起こし、山の保全を考える会です。

愛嶽山

2007-10-17 | Weblog
愛嶽山


宝満本山とは鳥越峠を通じて連峰となる標高432mの山。
ピークは手前の愛嶽神社本殿のある峰とその奥の
枡形城とされる山城の占拠する峰とからなる。
「小岳」、「尾だけ」と書かれることもある。
神社の祭神は伊豆奈権現であったが、明治維新後に
軻遇土(かぐつち)神になった。火を司る神。
信仰としては牛馬安全、五穀豊穣の農耕に係わる事柄が主で
主に1月24日、7月24日に大石、本道寺、内山、北谷などから
牛を曳いて参拝することが恒例であったという。
その際に、土や砂を奉納する慣習があったらしい。
近世宝満二十五坊中の財行坊に係わる伝承として、
同坊に伊豆奈権現からの神託がり、参拝者が一握づつの土を奉納すれば
百万年後に宝満本山と同じ高さになり、望みをすべて叶えることが出来る
ようになる、という話が残されているらしい。

現在社地は竈門神社が管理している。
筑紫野市側からの参拝者が自主的に手を入れてあったらしいが、
ほんの数年の間に荒れてしまった。

参考文献
『太宰府市史民俗資料編』1997太宰府市