かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 192、193、194

2023-02-22 14:49:11 | 短歌の鑑賞
  2023年度版 馬場あき子の旅の歌25(2010年1月実施)
  【向日葵の種子】『雪木』(1987年刊)127頁~
    参加者:K・I、N・I、Y・I、T・S、藤本満須子、
       T・H、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:N・I 司会とまとめ:鹿取 未放

※歌集には旅行詠「向日葵の種子」の一連に入っているが、次の三首は帰国後に材を 取った歌なので、三首まとめて鑑賞する。


192 大陸を見てきしまなこ遊べよとさやさやとせり木草のみどり

      (まとめ)
 大陸であまりにもたくさんのことを見てきて未だ整理できない心境にある。とりあえず目前のやさしい「木草のみどり」が、疲れたまなこを遊ばせなさいと呼びかけているようだ。大陸に比べたら何ともささやかな、しかし細やかな情景が目の前には広がっているのだ。良くも悪くもそれが日本という国である。(鹿取)


193 えご咲けり一切後悔せずといふ若き元気も遠くかへり来

    (まとめ)
 えごは白い清楚な花だが、語感がエゴにも通じる。一切後悔しないで思った通りに生きようという若さの持つ元気が、旅の心身の疲労の回復と共にふつふつと自分に蘇ってきた。「遠く」だからまだ本格的に戻ったわけではないが、元気のなかには中国の人々のおおらかさとか底力に触れて得たものも加味されているのかもしれない。(鹿取)


194 夏さやと来てゐる土に這ひ出でて若きみみずらつやめきをれり

      (まとめ)
 直前の歌(えご咲けり一切後悔せずといふ若き元気も遠くかへり来)の一切後悔しない若さの一例が若いみみずのつやめきに反映しているのだろうか。「夏さやと」というリズムを小刻みにした気持ちの良い出だしに、つやめくみみずを配するところが馬場流である。(鹿取)

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