かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 211 中国⑦

2023-03-17 12:09:48 | 短歌の鑑賞
 2023年版 馬場あき子の旅の歌28(2010年5月実施)
    【飛天の道】『飛天の道』(2000年刊)171頁~
参加者:曽我亮子、F・H、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部 慧子 司会とまとめ:鹿取 未放


211 ぽんと咲く蓮の花より生れたる童子よろこびて水に跳ねゐつ

        (レポート)
 はちすの咲く音を聞きにゆくという巷の話もあるところから初句、二句はうなずける。清浄な世界の象徴「蓮」から生まれ、煩悩に汚染されない仏性としての童子誕生図とは、これの世に生まれいずる全てを祝福する象徴図であろう。そう感受された作者の言葉「よろこびて」が輝いており、「水に跳ねゐつ」も童子に愛情をこめた物言いだ。(慧子)


     (まとめ)
 莫高窟の壁画の中にこういう童子の絵もあるのだろう。蓮はぽんと音をたてて開くとよく言われるが、蓮から生まれた童子が喜んで水に跳ねている楽しい図である。あるいは西方浄土の蓮の池に極楽往生をして誕生した童子がいて、それを祝う飛天が描かれている絵かもしれない。「よろこびて」の字余りになる「て」に含蓄がある。(鹿取)

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