かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 212 中国⑦

2023-03-18 10:32:27 | 短歌の鑑賞
 2023年版 馬場あき子の旅の歌28(2010年5月実施)
   飛天の道】『飛天の道』(2000年刊)171頁~
参加者:曽我亮子、F・H、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部 慧子 司会とまとめ:鹿取 未放


212 馬乳子葡萄(まなえず)は飛天の嬰児(あかご)やしなひて蜻蛉(あきつ)にま    じるその子かなしむ
  
    (まとめ)
 この歌を読むと、211番〈ぽんと咲く蓮の花より生れたる童子よろこびて水に跳ねゐつ〉の歌の童子はこの飛天の嬰児だったのかもしれないと思わせられる。「馬乳子葡萄」は馬の乳のような形をした葡萄という意味の命名で、天山北路のオアシスあたりで栽培され、とても美味らしい。「まなえず」という音はいかにも赤ん坊の食べ物にふさわしくやさしい響きをもっている。そのおいしい葡萄によって飛天の嬰児はすくすくと育ち、今や蜻蛉に混じって楽しそうに空を飛び回っている。壁画の中に、大人の飛天とともに嬰児の飛天や蜻蛉も描かれていたのかもしれない。また馬乳子葡萄も土地の特産物だからここの壁画に描かれていたのかもしれない。(鹿取)


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