かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 36 

2023-05-04 10:22:20 | 短歌の鑑賞
 2023年版渡辺松男研究5(13年5月実施)
    『寒気氾濫』(1997年)橋として
     参加者:崎尾廣子、鈴木良明、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター  鈴木良明 まとめ  鹿取 未放


36 戦前ははじまりているという父の夕映えは立ちしままなる駱駝

     (レポート)(2013年5月)
 輪廻という見方がある。しかし、そう考えないまでも、日本の戦後がいつ終わったのかわからない。わからないままに、世界は戦争をしており、日本もいつ巻き込まれるかわからない。戦後は戦前のはじまりなのである。戦争経験者である父はそれを指摘しているのだろう。(鈴木)


    (当日意見)
★「夕映えは」の「は」がわかりにくい。粗食に耐えてよく働く駱駝は特に砂漠の多
 い国では重宝されているが、働きづめに働いて立ちっぱなしである駱駝のような
 父。そのお父さんが戦前は始まっていると言っている。日本の庶民はいつだって戦
 争に巻き込まれて塗炭の苦しみを味わってきた。そういう戦争が迫っている危機感
 を、お父さんは実感として持っているのだろう。(鹿取)

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