かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 288

2024-07-10 10:26:29 | 短歌の鑑賞

2024年度版 渡辺松男研究35(16年2月実施)
   【ポケットベル】『寒気氾濫』(1997年)118頁~
   参加者:S・I、泉真帆、M・S、曽我亮子、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:S・I  司会と記録:鹿取 未放


288 常に他人と一緒のようで休まらぬポケットベルがわが腰にある

     (レポート)
 当時はポケットベルが現場仕事に携わる職業人の欠かせぬアイテムであった。常に誰かに呼び出されるという意識は、誰かと一緒に行動しているという思いと同じく、落ち着かないものである。ポケベルを所持することは仕事の効率を上げるに違いない、が、半面ゆとりもなく、組織の歯車になっているような感懐をもたらす。(S・I)


     (当日意見) 
★現場仕事ってあるけど、これでいいんでしょうかね。庁舎を離れて外で仕事してい
 るってことでしょうかね。(藤本)
★まあ、松男さん、いろんな職種を経験されているので、外廻りの仕事も多かったんで
 しょうね。怪我をした動物を助手席に乗せてどこかに連れて行くとき怖かった話と
 か、剥製に出す鳥を博物館に持って行くとかエッセーで読んだことがありますから。
 でも、作者が使っていたかは問題ではなくて、携帯電話のない当時、ポケベルは最新
 のアイテムだったからこの歌で使われているのでしょう。(鹿取)

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