かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 272

2024-06-08 12:03:20 | 短歌の鑑賞
  2024年度版 2024年版 渡辺松男研究33(15年12月実施)
   【全力蛇行】『寒気氾濫』(1997年)112頁~
    参加者:泉真帆、M・S、曽我亮子、藤本満須子、鹿取未放
    レポーター:泉 真帆 司会と記録:鹿取 未放


272 われらふぐりが膨らんでゆき綿雲のああふんわりと浮くあきの空

     (レポート)
【解釈】
僕らのふぐりは膨らんでゆきふんわりする、まるで秋空に浮かんでいる綿雲の心地だ。
【もう一つの解釈】作者の心はいま「ふぐり」と同化しているのだろう。綿雲がふんわりふんわり浮く秋空。みているとその綿雲もふぐりのように見えてくる。(真帆)


     (当日意見)
★「われらふぐりが膨らんでゆき」で切れる2句切れだと思います。それから評者が悩
 まれた初句は「われら」=「ふぐり」ではなく、われら「の」ふぐりという所有格
 の「の」が省略された形だと思います。われのふぐりが、と単数ではなく複数なの
 で、少年期の男の子の特性を共通項として考察しているのかな。(鹿取)
★ふぐりから秋の空に繋げるところが詩的で面白いですね。そんな難しく考える歌では
 ないと思います。(曽我)
★なるほどね、そうかもしれないですね。われらのふぐりが膨らんでいく身体感覚と、
 空にはふぐりに似た雲がふわふわと浮いているなあという感慨。いい気分なのでしょ
 うかね。(鹿取)

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