かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 317、318 トルコ⑧

2024-05-04 10:51:13 | 短歌の鑑賞
 2024年度版 馬場あき子の外国詠43(2011年9月実施)
   【コンヤにて】『飛種』(1996年刊)P142~
    参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子、
        渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:曽我亮子    司会と記録:鹿取未放


317 太き橅風を鳴らせるエイユルデル湖青き感情を揺らし吾を見る

     (レポート)
 エイユルデル湖は地中海に面したアナンタルヤの北方150キロに位置する湖水地方のかなり大きな湖だと言える。白雪をいただく山容や青い空を湖面に写し透明度の高い、碧くきりっとした湖である。作者は青色の凛とした静けさ、深さ、透明感を愛され、かなりの作品に様々の青が登場する。 (曽我)


      (まとめ)
 風が吹きすさぶ湖の情景が詠われている。風によって橅の木が鳴っているのだが風を鳴らせると逆に詠んでいる。また風によって波立っている受け身の湖を、青き感情を自ら揺らして「吾を見る」のだと詠う。感情を揺らして自分を見ている湖に、作者の心も同調しているのであろう。意識や言葉の無いものを自分が見ているのに、相手から見られていると詠うのも馬場の歌い方の特徴である。魚を釣り上げた〈われ〉を釣られた沼が恨めしそうに見ているという歌もあった。
 また、青は作者の偏愛する色で、歌にも多く詠まれ、『青椿抄』『青い夜のことば』など歌集の題名にも使われている。(鹿取)

    
318 こころ吸はれてここに佇むひとときのエイユルデル湖の沈思の碧さ

        (レポート)
 きらめく湖水のあまりの美しさに心を奪われ去りがたく、湖畔に佇むその時もエイユルデル湖は深く物思いに沈み、静謐な碧さを湛えていることよ… (曽我)


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