2025年度版 渡辺松男研究2の4(2017年9月実施)
『泡宇宙の蛙』(1999年)【大雨覆】P24~
参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、渡部慧子、
A・Y、鹿取未放
レポーター:泉 真帆 司会と記録:鹿取未放
26 ひかりより繊きおもいというものを鳥は知りつつ天翔るらん
(レポート)
太陽光が生き物へ与える慈しみより、もっと繊細な恩寵を天(そら)から身に浴びていることを、鳥は自覚しながら翔んでいるのだろう、と鳥への畏敬の情を詠んでいるように思う。(真帆)
(当日発言)
★「ひかりより繊きおもい」というのは誰のおもいなのでしょうか?人ではないと思うのですが。大い なるものの意志、というか超越者なのでしょうか? (鹿取)
★夕鶴を思いました。繊いという文字を敢えて使っているから、糸のように切れやすい脆い人との繋がりということです。人間は裏切った訳ですからね。そういうことを知りながら飛んでいる訳で、それで畏敬の念もおこるかもしれない。(A・Y)
★いろんな読みがあってよいとは思いますが、A・Yさんの説だと「鳥が」「切れやすい脆い人との繋がり」を思いながら飛んでいると言うことになりますが、鳥は人間の事など思っていないでしょうね。 また、それだと「ひかり」と比較する意味合いがなくなります。繊いは繊細とか細やかさとかそういう時に使うようです。これから鑑賞する松男さんの歌に「白鳥はふっくらと陽にふくらみぬありがとういつも見えないあなた」というのがあります。この歌の「あなた」と26番歌に書かれていな い主体は同じなのかなあと思うわけです。鳥がどのくらいの思考能力があるか勉強していないのですが、愛を伝えたり、子育てしたり威嚇し合ったりしていますよね。それで超越者が生きとし生きるものに対する恩寵のようなものを、鳥は思念ではないけれど直観として知っているのじゃないかなと松男さんは思っているのではないですか。(鹿取)
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