かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 189

2022-11-24 14:57:49 | 短歌の鑑賞
  渡辺松男研究2の25(2019年7月実施)
     Ⅲ〈行乞〉『泡宇宙の蛙』(1999年)P120~
     参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、T・S、鹿取未放
     レポーター:泉真帆   司会と記録:鹿取未放


189 おおきくちいさく雪くるくると降りやまず杭を打つなら中心を打て

  (レポート)
 降る雪をながめていると、大きい雪、小さい雪、雪にいろいろあることを、大抵の人は一度は感じたことがあるだろう。そんなゆきが「くるくる」回りながら降り続いているという柔らかな景を思い描いていると、下句では急に「杭を打つなら中心を打て」と激しくしめくくられる。杭を打つときは、中心をはずしてしまうと、右に左にとゆがみ、何度も打ち直すことになってしまうのだろう。雪がふっているために杭頭がすべり、なかなか要領よく打込めず、作業が長引いてしまっているのかもしれない。下句は真実をみよというアフォリズムのようでもある。(真帆)


       (当日意見) 
★上の句は雪の降りようがよく捉えられている。こんな感じに雪って待っています
 よね。こんな雪降りの中で杭を打とうとしたらどこが中心かも見えづらいですね。
 まあ、そんな理屈を言っている歌では全然ないのですが。(鹿取)
★下の句は真実を捉えよと言っているのかなと。(真帆)
★倫理的なこととか、道徳的なこととかそんなことを言って聞かそうとか一切無い
 人だから、この下の句は何なんでしょうね。整合性をもった歌と考えなくてもい
 いのかもしれないですね。(A・K)


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