かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 90

2020-09-09 19:16:36 | 短歌の鑑賞
  ブログ版渡辺松男研究⑩(13年11月)
     【からーん】『寒気氾濫』(1997年)36頁~
      参加者:崎尾廣子、鈴木良明(紙上参加)、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター 渡部慧子    司会と記録:鹿取 未放


90 ひとを待つあいだは紅葉見あげては皮裏(ひり)のくれない濃くしてゆけり

           (レポート)
 「紅葉」から「皮裏(ひり)」へ色が移り込む感さえおこさせる。「皮裏(ひり)」と「ては」によって「ひとを待つあいだ」の身体的ドラマが感じられ味わいに深みが生まれる。(慧子)


           (記録)
 ★この歌の内容そのものは分かりやすい恋の歌ですよね。皮裏は造語かと思っていたが
  辞書に「皮膚の内側、転じて心」と載っています。紅葉を見上げてその色の反映のよ
  うに皮膚の内側から紅くなっていく、そして心もはにかんで染まっている、好きな人
  を待つ男性の気分がういういしく出ていますね。(鹿取)
 ★私の辞書には載っていなかった。皮裏(ひり)という言葉を使うことで、恋の想念を極めてド
  ライに詠ったのだと思う。(慧子)
 ★この詠い方をドライとは思わないけど。(鹿取)



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