2025年度版 渡辺松男研究 2の35(24年11月実施)
『泡宇宙の蛙』(1999年刊)P171~ Ⅳ〈蝶いちまい〉
参加者:M・A、(岡東)和子、鹿取未放
事前意見:菅原あつ子、・山田公子
269 こころ永久にものさみしきや木の影がはるかなる月の面にゆれだす
(事前意見)
◆はるかな月(たぶん満月)の面に揺れて映る木の影のようにこころはずっとさみしいのだ、と…手の届かない美しいものへの憧れは昔も今も変わらない。そして、それは叶わぬこととわかっている。だから、こころはいつもさみしいのではないか、と…美しい歌だと思う。(菅原)
★月は、いえ月の光は…物寂しさを誘います。人は誰もさみしさと共存して 生きています。木の影を映す月の面に、さみしさを感じるのは、誰しものことです。初句の〈こころ永久にものさみしきや〉が素晴らしく効いています。(山田)
(当日意見)
●読み方は、音数からいくと「こころとわに」、「つきのおもに」なんでしょうかね。音数をはみだすけれどこう読んで欲しいというのであれば規則はないけど、「えいきゅう」「おもて」とルビふることになりますから。さきほどの蝦夷竜胆にはルビが振ってありましたね。(鹿取)
●上の句は自問ですが、永遠にものさびしいのだろうなあと肯定している。菅原さんの書かれているように、たぶん満月なんでしょうね。手前に木があって、その影が揺れるのが満月に写っている。上の句の心境の方に松男さんらしさが出ているように思います。(鹿取)
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