かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞  354

2021-11-07 12:11:18 | 短歌の鑑賞
  渡辺松男研究42(2016年9月実施)『寒気氾濫』(1997年)
    【明快なる樹々】P143~
     参加者:M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:鈴木 良明     司会と記録:鹿取 未放


354 野の芹をともに摘みつつ何処にでもいそうでいない君とおもいぬ

      (レポート)
 日常的な暮らしのなかで人は、互いに「かけがえのない」存在になってゆく。特別ではないが替えることのできない存在、そのような関係が「何処にでもいそうでいない君」という表現に表われている。上の句の「野の芹をともに摘みつつ」という平凡な行為を詠みながら、自然に下の句の思いを導いていて、秀歌となっている。(鈴木)


     (当日意見)
★いっしょに芹を摘んでくれるような優しい人はめったにいない、ということを言っている。だか
 ら大切にしようと思っている。(曽我)
★いっしょに芹を摘む人はいくらでもいるけれど、今日のこの人はかけがえのない人だと思った。
   (M・S)
★たまたま今芹を摘んでいるけれども、日常的な暮らしというものが背景にある。鈴木さんが言っ
ているとおり。(慧子)
★そうですね、芹って清らかな水辺に生えるので、「野の芹」だけで清新なイメージを呼び出して
  います。そういう場で共に芹を摘む君に信頼感を持っている。(鹿取)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする