かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞  360

2021-11-21 15:09:14 | 短歌の鑑賞
  渡辺松男研究43(2016年10月実施)  『寒気氾濫』(1997年)
    【半眼】P146~
     参加者:泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉 真帆    司会と記録:鹿取 未放


360 再会の山毛欅の樹幹を抱くときのその悦びのぐぐぐぐと春

     (レポート)
 渡辺松男歌の魅力は、情動を歪めず一首に気分をのせられるところだと思う。読者はそこをたのしめる。「ぐぐぐぐ」というオノマトペで、悦びがだんだんと実感として迫ってくる様が表現されている。視角的にも「ぐ」を重ねてたのしい。「再会」に心情が込められている。(真帆)


     (当日意見)
★別に山毛欅でいいけど、まあ恋人との二重写しになっているんでしょうね。作者は山毛欅だけと
 とってほしいのかしら。(鹿取)
★あくまで山毛欅に再会できた喜びじゃないですか。違う?(真帆)
★真帆さんの解釈はいいと思いますよ。(鹿取)
★一連を読んでいくと人との再会だから、ダブって読んでもいいと思います。誰かを抱きたきとか
 も出てきましたから。ただ、松男さんは木が好きだから、うまく言葉が斡旋されている。あんま
 り人を前面に出してもあれだし、批評を書くのが難しいですね。(鈴木)
★私はどちらかというと、この歌は山毛欅のことだけと採りたい気分なのですが、素肌、白蓮の下
 で待つ、うつそみを恋うの後に置かれた歌だと思うと、どうしても恋人に会えた喜びを重ねて読
 むことになってしまいます。(鹿取)
★でも、「ぐぐぐぐ」って松男さんしか使えないですね。(鈴木)
★素敵ですね、気分が出ていますよね。(鹿取)
コメント
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