かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の短歌鑑賞 160 161

2021-11-12 18:30:36 | 短歌の鑑賞
   ブログ版清見糺鑑賞 24       かりん鎌倉なぎさの会 

160 砲弾がうがちし穴に水たまりいもり小えびのいのちはぐくむ
        「かりん」2001年2月号

 沖縄の歌の続き。艦砲射撃の跡だという水たまりがあちこちにあった。その水たまりにいまでは小さな生き物たちが育って蠢いている。


161 大地の子イル=ド=フランスその乳房ゆたかに春のまんなかに立つ
        「かりん」2001年3月号

 岩田正を中心に西洋美術館に行ってみんなで歌を詠もうという催しがあった時に作った歌。イル=ド=フランスは、裸身の少女が胸を張って立つマイヨールのブロンズ像。題はかつて肥沃な大地だったフランス中心部(パリを含む)の呼称イル=ド=フランスによっている。自然豊かな土地(であった)イル=ド=フランスへのオマージュであり、豊かな乳房はその象徴である。少女の像だから作者清見は「大地の子」と呼び「春のまんなかに立つ」と讃えているのだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする