Danchoのお気楽Diary

高校3年間応援団だった「応援団バカ」の日記。スポーツ観戦や将棋等の趣味の他、日常感じる事を、「ゆるゆる」綴ります。

こんにゃくゼリー事件、原告が敗れ、そして控訴に…。

2010-12-20 00:00:01 | 社会
こんにゃくゼリー窒息死訴訟、両親の訴えを棄却(朝日新聞) - goo ニュース

にわかに注目されていた、「こんにゃくゼリー窒息死訴訟」の判決が、先月あった。

上のリンク先の記事、もう読めなくなっていると思うので、予め以下に全文を引用しておいた、紹介する。

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 兵庫県の男児(当時1)が「こんにゃくゼリー」をのどに詰まらせて死亡したのは食品としての安全性に欠陥があったとして、両親が製造物責任(PL)法に基づいてマンナンライフ(群馬県富岡市)と同社長らに約6240万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、神戸地裁姫路支部であった。中村隆次裁判長は「通常の安全性を備えており欠陥はない」と述べ、両親の請求を棄却した。こんにゃくゼリーの製造責任をめぐる判決は初めて。

 判決によると、男児は1歳9カ月だった2008年7月29日、マ社のこんにゃくゼリー「蒟蒻畑(こんにゃくばたけ)」を祖母から凍らせた状態で与えられてのどに詰まらせ、約2カ月後に亡くなった。

 両親は昨年3月に提訴。訴訟で「こんにゃくゼリーは通常のゼリーよりも弾力性が強く、物をかむ力やのみ込む力の弱い子どもや高齢者にとっては危険性が増す食品だ」と主張。パッケージ裏面の警告表示は不十分だったうえ、同社ホームページに「冷やすとより一層おいしく召し上がれます」と表示されていたことから、消費者がゼリーを凍らせることはマ社側も予想できたと訴えていた。

 これに対しマ社側は、内閣府食品安全委員会の今年6月の評価書を踏まえて「のどに詰まらせる事故が起こる頻度はアメと同等だ」と反論。凍らせる食べ方に関しては「周りの大人が幼児に食事をさせる際に注意を払っていなかった」としていた。

 判決は(1)国民生活センターが1995年以降、こんにゃくゼリーを食べた人がのどに詰まらせて死亡する事故が起きていると注意を呼びかけていた(2)外袋に「蒟蒻畑」と表示されており、消費者は食感などから通常のゼリーと異なると認識できる――などと指摘。マ社による不適切な販売がなされていたとは認められず、PL法上の欠陥はないと結論づけた。

 マ社の代理人の松坂祐輔弁護士は「冷静に結論を出してもらった。食物による窒息事故死で毎年4千人以上が亡くなっており、国はこんにゃくゼリーだけでなく対策を考えてもらいたい」と話した。

     ◇

 〈製造物責任(PL)法〉 製品の欠陥で消費者が被害を受けた場合、メーカーなど製造側に損害賠償を請求できることを定めた法律。1995年に施行された。訴訟における被害者側の負担を軽減するため、製品の安全性に欠陥があったことを証明すれば、製造側の過失を立証する必要はない。

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こんにゃくゼリーには、どうしても熱くなってしまう私。

本件の様に、裁判になった事例の他にも、数十件同じ事態が起こってはいる。

しかし、一方で、製造物責任法が施行されてから、製造販売元であるM社も、この法律の施行に基づいて、警告表示はしている。それは私も十分理解しているつもり。
酷な言い方かもしれないが、メーカーとしては、消費者に対して、「最低限の事」はしているのである。

この先の事は、実は我々消費者側の「認識」がしっかりしているのか、それとも甘いのか…というところにかかってくる。

私自身が一消費者の立場で、私自身の事として、本件を「冷静」に考えてみた。

仮に、1歳の、まだ「固形物」を食するのには困難な面を要する子供が私にいた場合、メーカー側の「想定外」とされる、製品を「冷凍」させて、それを与える様な事は、さすがにしないと思う。
嚥下すら満足にできない幼児に与えるのには、リスクがあること自体、子の親なら認識はできるはず。そこの「リスクマネージメント」は、いわば「親の責任」でもある。

そもそも「危険そうな食べ物」である…と認識があるならば、「少し大人」になるまで、この製品に手を出さない様にすれば済むことである。
「冷やしたら、より一層風味が楽しめる」とメーカーが推奨したから…と言って、「冷凍すると」とまでは保障はしていない。一言でいえば「消費者側のモラル」に委ねられるのだ。

だが、事故は起こってしまい、裁判になってしまった。

個人的な本音を少しだけ言わせていただくとしたら、この訴訟沙汰によって、製品イメージは下がってしまって、なかなか手に入りにくくなってしまったし、未だに昼食休憩中に食している「プチ弁当」のデザートとして「復活」が叶っておらず、「楽しみ」を奪われている状態で、大変残念だ。

判決は、「メーカーに落ち度はない」という事で、原告側の敗訴になった。

私も、メーカーが保障していない「冷凍」させてこのゼリー食べると、大変美味で「病みつき」だったが、そのたびに、「これって、メーカーが保障していない方法だから、事故が起こっても、文句は言えないんだよな」等と思いながら食べていた。
そう、もし事故が起こっても、「こちらの落ち度」と十分認識していた。
その観点で判断すると、判決は、家族を失ってしまった遺族には申し訳ないのだけれど、冷静に見て妥当と思う。
これ以上事を荒立てれば、「モンスターペアレント」となんら変わりがなくなってしまうのではないか。

そんな時、あるニュースをブログに投稿するサイトで、本件のやり取りが以下の様にあった。ちょっと紹介したい。

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 こんにゃくゼリーは安全なのか、危険なのか-。約20件発生した子供や老人の窒息事故を受け、一時は製造中止に追い込まれたこんにゃくゼリー。内閣府食品安全委員会の作業部会は先ごろ、1億人が一口食べて窒息死する割合を「最大0. 33人」と算出、「窒息事故頻度は、あめ類と同程度と推測する」との見解をまとめた。「なーんだ、全然危なくないじゃん」と早合点したいところだが、“反こんにゃくゼリー”団体の厳しい視線は変わっていない。

「これでは、アメと同じくらい“安全”なのか、同じくらい“危険”なのか、消費者はよく分かりませんよね。こんにゃく入りゼリーが危険な食品であるという事実に何ら変わりはない、と私どもは考えています」

 こう断じるのは全国66の消費者団体などで構成する「消費者主役の新行政組織実現全国会議」(ユニカねっと)代表幹事の阿南久氏(59)。同団体は、一連の窒息事故を受けて主力商品「蒟蒻畑」の製造を中止していた業界最大手「マンナンライフ」(群馬県富岡市)が2008年12月に製造を再開した際、最後まで反対し続けた“反こんにゃくゼリー”の急先鋒だ。

 政府によって「アメと同程度の危険性」との“お墨付き”が出た今も、その認識は変わらない。理由はこうだ。

 「そもそも、こんにゃくゼリーはミニカップからツルッと飲み込むもの。その危険性が認知されていなかったから悲しい死亡事故が起きてしまった。今回の調査は、一口あたりの窒息事故“頻度”をデータ化したもので、一瞬で気道まで入り込んでしまうこんにゃくゼリーの危険性は、まったく反映していません」

 窒息リスクがはるかに高いモチや、同じくらい危険なアメを差し置いて、こんにゃくゼリーだけがやり玉に挙げられるのは不公平な気もするが…。

 「たしかに、モチやアメに対して製造中止を求めたことはありません。あえてこんにゃくゼリーを厳しく指摘するのは、モチやアメと異なり、消費者の食習慣や経験の中で窒息リスクの存在がほとんど認知されていなかったからです。クラッシュタイプを開発したり、ゼリーを柔らかくしたり、あるいは窒息の注意書きを大きくしたメーカーの努力は評価しますが、主流のミニカップタイプの販売が続くかぎり、窒息リスクもなくなりません」

 こんにゃくゼリーに「安全宣言」を出すには(1)ミニカップタイプの廃止(2)ゼリーの名を廃して「こんにゃく加工食品」と変える-ことが条件。菓子ではなく、普通のこんにゃくと同様のものだとの認識で消費者に購入してもらうことが重要だという。

 一方、マンナンライフ本社は「さまざまなとらえ方ができると思いますが、あくまで公正公平に調査していただいた結果と考えています。今年春ごろには最終的な見解が出ると聞いているので、それを待って会社としての今後の対応を考えたい」と話している。

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ここで記事をエントリーしているブロガーの皆さんは、概ねメーカー側擁護の姿勢。
団体側を「屁理屈集団」「単なるクレーマー」等と、逆にバッシングしているのが殆ど。

なんだか「重箱の隅突き」的な議論で、そこまでお互い熱くならなくても…とは思うが(と言いながら、取り上げる私も私だが)、逆にそれだけ社会的にはそこそこ大きな関心事ではあるのだろう。

ここまで話が大きくなると、「まるくおさめる」ことや「水に流す」ことは、もはや困難だろうが、メーカー側はもちろんなのだが、消費者側も、もう少し「リスクマネージメント」という事に真剣に向き合う必要はあるのではないだろうか。消費者としての「モラル」を再考する必要もある。

そして、原告側が控訴に踏み切った。
原告側は、どうしても引くに引けないのだろう。

裁判を通して、条文数が少ないながら、非常に重要な意味を持つ製造物責任法の「飛躍的な解釈」だけは、避けるべきではあろう。

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2 Comments

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屋上の「明かり取りの窓」も (川島孝之(表参道の小さな広告屋から))
2010-12-20 00:51:48

マンションや、小学校等の校舎の屋上の「明かり取りの窓」
(平面のガラスだったり、ドーム状のガラスだったり)に
乗っかって(時にはその上で飛び跳ねて)ガラスが割れ、
落下して死亡する事故の件に、少し似ています。

危険防止の柵があるにもかかわらず、(多分好奇心で)
乗り越えてまでガラスに乗り、死亡した例もあるようです。

「危険な場所」であることは確か。
しかし、「明かり取り」という重要な役割があり
「近づいてはいけない場所」であることを言っていないわけではない。

それでも「明かり取り」を設置した(管理した)者が悪いのか?
屋上にかぎをかけるべきか。完璧な柵が必須か。
引率する先生は、そもそも屋上に連れて行ったこと自体
懺悔するべきなのか…。

簡単に書ける問題ではありませんが、
「こんにゃくゼリー」のブログ記事を拝見し、関連して
考え込んでしまいました。
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難しい問題 (Dancho)
2010-12-31 15:08:46
川島さん、こんにちは。

コメント、ありがとうございます。
そして、レスが大変遅くなったこと、お詫び申し上げます。


こういう事故、難しいですよね。

本件は、最近消費者庁から「指針」が出され、その事も記事としてエントリーする用意はあるのですが、誰が「真犯人」かは、問えないと思いますよね。

やはり、メーカーのリスクマネージメントの徹底性と、消費者側のモラルのバランスが釣り合わないと…という事でしょうか。そのバランスが崩れたために、訴訟にまで至ったのは、誠に残念でなりませんし、原告側1審敗訴で控訴に至ったのも、その「残念さ」に拍車を掛けた気がします。

本題とは全く関係がない事で、最後になりますが、良いお年をお迎え下さい。

先ずは、コメントを頂戴した事に対しての御礼と、レスの大幅遅延に対し、お詫びまで。
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