ダンポポの種

備忘録です

ハンバーガーを食べ過ぎて

2008年02月15日 20時35分41秒 | 備忘録
西宮で過ごした小学生時代の思い出。

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

3年生のとき、ある日曜日に、家族と神戸へ出かけた。
昼に「○クドナルド」でハンバーガーを食べた。
おいしかったので、持ち帰り用も何個か買ってもらい、その晩も、家でハンバーガーを食べた。
たくさん食べて、お腹いっぱいになった。

翌朝、月曜日--。
いつものように目覚めて、
「さあ、学校へ行かなくては…」
と思ってみるものの、気分が非常に悪かった。胸がムカムカする。
原因は、ハンバーガーの食べ過ぎ!? と思われた。

気分が悪いけれど、体温を計ってみると、熱があるわけではなかった。
なので、普段通りに登校した。

昼になって、給食の時間。
その場で初めて気がついた。
この日の献立は、ハンバーグだった。

「えええっ…、もう、ハンバーグいらんわ」

それでも、『給食は残さずに食べましょう』という日頃の〝教え〟を守り、私は食べきった。

食後の昼休みは、普段のように走り回る気分になれず、教室で静かに過ごした。

そして午後の授業(5時間目)が始まった。
授業中、私は終始、吐き気との戦いだった。かなり危ない状態だった。
「早く授業が終わらないか…」
そればかりを考えていた。

と…、そのとき、ひとりの女子が、ダッ!と席を立って、教室に隣接したベランダ(テラス)に走り出て、手洗い場のところでうずくまった。
『授業の最中に突然何事か…!?』
クラスメートたちはざわついた。
先生も驚いたような表情で視線を送っておられたが、様子は見に行かない。

ほどなく、その子は教室内に戻ってきて、言った。

「先生すみません。〝もどし〟ました」

「気分が悪かったの? 保健室に行かなくて大丈夫?」

「もう大丈夫です」

「でもね…、シンドイなぁと思ったら、早めに先生に言いなさいよ! 何してるのっ!」

誰でも、その日の体調により、急に気分が悪くなることだって、無いとは言えない。それは仕方がないのだから、そうなったときは切羽詰まってしまう前に早く先生に言いなさいと、この状況下で、なおも〝指導〟が行われたのである。
その子にしてみれば、我慢しきれずに吐いたあげく怒られたわけだから「泣きっ面に蜂」だけど、授業の真っ最中に手洗い場へダッシュで駆け込むのも確かに考えものだ。大事にいたるまでに早く意思表示をせよ、ということを先生は教えたかったのだと思う。

もちろん、その日の私は、そんなところまで考えは及ばない。ただひたすら、吐き気をこらえるのみだった。

それこそ、
「授業中だけど、我慢できなくなったら便所へ走るか…」
とも考えていたのだが、思わぬ形で先手を打たれ、その切り札を流されてしまった状況だ。

早めに意思表示せよと、先生がおっしゃったばかりだけれど、
「ぼく〝も〟、気分が悪いです…」
とは今さら名乗り出がたい空気に、教室は包まれてしまっている。
もはや吐くわけにいかない、絶体絶命のピンチである。

結局、私は最後まで頑張って、苦難のひとときを耐え抜いた。

ハンバーガーに限らず、何事も欲張ってはいけないことを学んだ一件、という位置づけで、今でも記憶に残っている。