雨の日にはJAZZを聴きながら

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Maria Schneider 『 Sky Blue 』

2007年08月25日 11時46分42秒 | Large Jazz Ensemble
先週の8月18日、19日の二日間、毎年恒例の「YAMANO BIG BAND JAZZ CONTEST」が開催されました。以前は毎年楽しみにしていた催しだったのですが、最近は参加者増加のために会場が日本青年館(1360名収容)から府中の森芸術劇場(2000名収容)に移ってしまったことや、更には我が家に子供が生まれてからは家族で優雅にコンサート鑑賞ともいかなくなったことなどから、残念なことにここ数年は足が遠のいでいます。でも結果は気になるもので、山野楽器のHPから審査結果を覗いてみると、今年の優勝バンドは国立音大ニュー・タイド・ジャズ・オーケストラとのこと。僕のお気に入りの早稲田ハイソは4位。慶応は3位。国立音大って最近強いですね。一度も聴いたことないので是非来年は観に行きたいです。と思っていたら、今年のコンテストの模様が初のDVD発売になるという情報が山野楽器のHPに掲載されていました。5500円はちょっと高いが買ってみようかな。

さて、今日もビッグバンド作品のご紹介です。今、ニューヨークで最も人気のあるビッグ・バンド、マリア・シュナイダー・オーケストラの第6作目にあたる新作『 Sky Blue 』が発売になりました。2004年の前作『 Concert in the Garden 』がartistShareからのオンライン配信&通販という販売形態をとりながらも第47回のグラミー賞( Best Large Jazz Ensemble Album )を受賞したことで話題になったのも記憶に新しい彼女ですが、今回はスタジオ録音ということもあり、『 Concert in the Garden 』や『 Days of Wine and Roses 』のような観客視線を意識したダイナミックで娯楽性のある作風ではなく、非常に優雅で微妙に揺らぎながらドラマティックに展開する楽曲をかいてきました。

正直なところ今までの作品は世間が評価するほど良いとは思っていなかった(デビュー作の『 Evanescence 』はなかなか良かったけどね)のですが、この新作は素晴らしいです。やや全体には大人しい音作りで、ビッグ・バンド的ではないのですが、すべての物語がまるで夢のなかで進行しているかのような心地よいサウンドがたまりません。特にM-1 ≪The Pretty Road ≫は絶品です。イングリッド・イエンセンのフリューゲルホーンがふわ~と入ってる2分54秒、その瞬間が鳥肌ものです。大好きなルシアナ・ソーザのヴォイスもオーケストラに美しく溶け込み、まさにそこは夢の楽園、シャングリラ。

メンバーは、ティム・リース(as,ss,cl, fl,)が抜け、その代りにスティーブ・ウイルソンが加入してる以外は前作から大きな変化はありません。クラリス・ペン、ベン・モンダー、フランク・キンブロー、スコット・ロビンソン、そしてドニー・マッカスリンなど、分かる人にはわかる実に贅沢な布陣です。

オーセンティックなビッグ・バンド・ジャズのような高揚感は得られませんが、爽やかなそよ風に優しく頬を撫でられたような余韻を残してくれる、そんな作品です。