雨の日にはJAZZを聴きながら

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Phil Woods & Space Jazz Trio 『 Phil's Mood 』

2006年09月23日 20時37分27秒 | JAZZ
西山瞳さんがエンリコに似ているというもんだから,ちょっと,Space Jazz Trioの古いアルバムを引っ張り出してきました。90年録音のPhilology盤で,フィル・ウッズとの競演を捉えた貴重なアルバムです。この頃はSJTとしての絶頂期でしたから,その演奏に込められた情念,気迫たるや凄いものがあります。こんなアルバム聴いちゃうと,西山瞳さんとエンリコって全然違うじゃん! なんて思っちゃいます。瞳さんが聴いて感銘を受けたエンリコ盤ってどんなんだったのでしょうね。瞳さんの雰囲気に一番近似しているのは,マーク・ジョンソン,ジョーイ・バロンらとのトリオで,CAM JAZZあたりのアルバムではないでしょうかね。エンリコも昔と今じゃ,だいぶ変ってきましたからね。

西山 瞳 『 Cubium 』

2006年09月23日 18時20分43秒 | JAZZ
僕が以前からEnrico Pieranunzi(エンリコ・ピエラヌンツィ)の事が好きだと書いていたら,情報通のmartyさんから,「日本人エンリコ」と噂の西山瞳さんというピアニストが凄いよ,と教えていただいていたので,今回のデビューアルバムをずっと楽しみにしていました。僕は今まで彼女を聴いたことがなかったのですが,関西(martyさんも関西の方です)ではかなり有名のようです。6歳でクラシックをはじめ,18歳でジャズ・ピアノに興味を持ち,音大卒業後にエンリコを聴いて傾倒していったそうです。現在26歳ですからジャズ・ピアノを始めてから8年,エンリコを知ってからまだ5,6年ですよ。それでもう欧州系のアルバム作っちゃうんですから,それだけで大したものです。才能豊かなんでしょうね。

レーベルはSpice of Lifeで,メンバーは当然Spice of Lifeお得意のスウェーデンの名手を手配しました。ベースがHans Backenroth(ハンス・バッケンロス)で,ドラムスがAnders KjellBerg(アンダーシュ・シェリベリ)。ハンスはSweet Jazz trio のベーシストです。と言ってもピンときませんね。僕も以前に1枚買ったことがありますが,先程探したけど何処にもない。行方不明です。あまり印象に残らなかったトリオでした。トリオと言ってもベース,ギター,クラリネット(だったかな)のトリオでした。僕がハンスを意識したのは,先日発売されたばかりのUlf Wakenius(ウルフ・ワケニウス)を中心としたユニット,In The Spirit of Oscarのアルバム『 Cakewalk 』でした。オスカー・ピアーターソンの曲を結構忠実に再現したアルバムでしたが,そこでまさにペデルセンそっくりに弾きまくっていたのがハンスでした。音色,ノリ,ソロでの音使いやラインまで,ペデルセンと瓜二つのベーシストです。もしかするとハンスってペデルセンニに師事していたのかもしれません。

ますはM-1 《 Cubium 》のイントロの2, 3秒を聴いて,「お~,エンリコに似てる~」なんて感心。でもまあ,聴き進むうちにそれほどエンリコには似ていないような気になってきました。エンリコの派生型であることには間違いないし,エンリコ・ジャズの香りは十分漂っています。でもまあ,エンリコに比べればタッチが弱いし,テンションも希薄。エンリコって,叙情的な方向に突き進むと思うと突然フリーフォームに突入したり,思索的なフレーズを弾き出したと,聴き手に緊張感を強いる感がありますし,なによりも熱きイタリアーノの血が感じられるんですよね。“パッショネート”。エンリコにはそれがある。それに対して,瞳さんには感情の高ぶりみたいなものがあまり感じられないんですね。でも,誤解しないでくださいね。瞳さんのタッチは確かにエンリコに比べたら弱いけど,音は正確で曖昧さの微塵も感じられないので,弱いというより優しいタッチと言った方が適切だと思うし,たとえ弱いとして,そんなマイナス点を差し引いても十分余りある彼女の魅力がこのアルバムには詰まっています。

兎に角,曲が美しい。作曲能力にすごく長けています。欧州ジャズ・ファンというのは例外なく美旋律愛好家であると思うのですが,そんなうるさいファンを満足させるだけの美旋律をふんだんに用意してくれています。ややハーモニー過剰気味に感じる部分や,旋律がホリゾンタールで,メロディーが立っていない感じもありますが,でも,やっぱり綺麗な音色と旋律で,メロメロです。大好きですよ,こういう曲。M-4《 you are not alone 》なんか,もうたまりません。こういう哀愁美曲があの華奢な指先から紡ぎ出されていると思うと,もう,それだけで,,,,。ハンスのソロも泣けるな~。ペデルセンの蘇りみたいだな~。

ということで,瞳さん,横濱ジャズプロムナードに出演するのですが,ライブは10月7日の土曜日だけなんですね。残念。僕,仕事の都合で8日の日曜日しか観に行けないんです。仕方ないのでロブ・ヴァン・バヴェルやフェイ・クラーセンでも観に行ってきます。