部活日誌

部活動(ひとり文楽部)の記録など

2014年4月公演◆菅原伝授手習鑑 (初段ー3)

2014-04-28 | 文楽
【築地の段】


「筆法伝授」で源蔵戸浪夫婦が泣く泣く菅丞相の屋敷を立ち去るやいなや、梅王が
「丞相様が、娘苅屋と斉世親王の政略結婚を企み謀反を起こそうとしているかどで流罪を申し渡された」
と慌ててやって来ます。
桜丸と八重がうっかり調子こいて取り持ったカップルですね。
もちろん菅丞相にとっては冤罪。
しかし丞相様は上つ君の仰せなら受け入れ背くことならぬと、言い訳もせず。
ここを時期ところっと時平に寝返った希世をやっつけようとする梅王を止めます。

ぐぬぅ、希世の間抜け面め。
あんたさっき源蔵に背負わされた机はどうした。
取って取って~ って誰かに頼んで取ってもらったのかこのすっとこどっこい

さ、そこで!
我らが(我ら?)源蔵夫婦登場ですよ!

梅王と違って、源蔵夫婦はあんなに腹の底から願っていた勘当を菅丞相から解いてもらうことは叶わなかった。
要するに、赤の他人。
思い切りぶっ飛ばしても丞相様に咎の及ぶところでもない。

ここでの眼目はすばり!
戸浪にも差添え渡し、共に闘うところですよね。
「女房諸共抜き放し」ですよ、源蔵と当たり前のように共に立ち回りを演ずる戸浪。

この場面でいよいよ戸浪の立ち位置がくっきり浮かび上がって来るわけです。
源蔵とのオフィスラブがバレて退職に追い込まれましたが、元は同じ職場で働くキャリアウーマンです。
決して源蔵につき従うだけの嫁ではないのです。
だからこそ寺子屋で源蔵は、妻の戸浪に自分の計画をすべて話し、協力を求めるのではないでしょうか。

…てな話はこの前 5月公演初日の帰りにみんなとも熱く語り合ったんですけども。
戸浪はキャリアウーマンであった、
源蔵とは夫婦でありながらも同志である、
対等な立場として生きている、
だから源蔵も躊躇せず戸波を抱き上げて築地の上から菅秀才様を助けだせたんだ、
戸浪!
どっちかってえとシンパシー!


って、あんた達、今見てきた5月公演の話をしたらどうだ、菅原じゃなく。
挙句の果てに更に伊賀越の話にまで遡っちゃって。
とも思うんですけどもね、今となれば。


菅秀才を救い出して背負う戸浪と、邪魔をする荒島主税を討とうと争う源蔵。
夫婦共同で主君のために、もしや一番の働きをしているのではなかろうか。
だからこそ、段切りを
「忠義、忠義を書き伝ゆる、筆の伝授は寺子屋が、
 一芸一能名も高き、人の手本となりにけり」
と結ぶのではないでしょうか!!!

か!!! 

か!!!



そんな勢い(とわたくしの熱苦しい想い)のある場を、睦さん、清志郎さんのふたりがまことにぴったりと現してくれて、またしてもわたくしは物語にのめり込むことができたのでした。

そして筆法伝授、築地とアホみたいに使った集中力のおかげで、この後がどんどん怪しくなっていくのであります。

まだ初段ですよ、どうすんだこの後。








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