部活日誌

部活動(ひとり文楽部)の記録など

由良湊千軒長者

2010-12-15 | 文楽
おっと、「本朝廿四孝」の前に忘れちゃいけない、安寿とつし王。


【由良湊千軒長者】
  山の段

 安寿姫  吉田勘彌  
       前半:睦大夫   
       後半:つばさ大夫 
 つし王丸 吉田一輔
       前半:靖大夫
       後半:希大夫   三味線 前半:清馗  後半:清丈'



つ? つし王? 
ずし王じゃなくて、「つ」??

と疑問を持ちつつも、まあいっか、と思っているうちに、舞台では由良湊の長者である山椒太夫にそれぞれ売り渡された姉弟の不幸な身の上を嘆きあう場面が繰り広げられています。

弟は山で芝を刈れ、姉は浜で汐汲みをしろ、とこき使われる姉弟はお互いをいたわり合うんだけど、姉は弟を思いやって

 「さぁ、山へ行きや、わしも一緒に柴刈ろう、」

ってお姉ちゃん・・・

あーたも一緒に山に行ってどうするよ!
あなたにも己の「汐汲み」というきっつい仕事があるでしょ!

と思っていると、弟のつし王(やっぱ、「つ」ってなんかヘン)、すかさず

 「姉様 わしと一緒に山へ行て お前の汐は誰がくみます」


よく言った、弟!あんた今いいこと言いました。 それ、今まさに私が言おうと思ってたこと。

が、弟のつし王(やっぱ「ず」だよな)、冷静なナイスツッコミの舌の根も乾かぬうちに

 「さぁ姉様、浜へお出で遊ばせ。わたしもともに汐汲もう」


・・・・・・


人のことはいいから。あんたたち、自分の仕事、早よせーよ!




・・・いやいや、そんな非道なことを思うのは、心の汚れきった賎の者のわたくしならでは。

たぶん、きっと、この段以外のところも上演してくれれば、ここの姉弟の労わりあう姿に涙する部分なのでしょう。

でもさ、なんかもったいないよね。勘彌さんも一輔さんも。
どうせなら、もっと目出度くてご陽気な景事でもやってくれたらよさそうなものを。


ちなみに、これも近松半二、竹本小出雲、竹本三郎兵衛、三好松洛らの合作、とのこと。

そう。私の今期最大の敵、「本朝廿四孝」の作者たち。
むむ~・・・
待ってろ、近松半二(ほか)。
今、わたくし、勘助住家について鋭意復習中ですからね、言いたいこと色々あるから、チーム近松半二(ほか)の方々には。

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2 コメント

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的確なツッコミ (ゆき)
2010-12-22 22:09:42
さむこさま、的確なツッコミありがとうございました。
私も以前、そんな要領の悪い姉弟だから売り飛ばされるような目にあうんじゃ、、、と思ってしまい、こんな人でなしなことを思うのって私だけ、、、?と思ったことがありました。
なんていうか、この姉弟、もうちょっと世間ズレしたほうが、、、って思いますよね、不憫とか思う前に!
でもこんな風に思う私はやっぱり人でなしなのかな、、、。
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いやいや (さむ子)
2010-12-24 17:14:15
◎ゆき様

この東京砂漠で、現代は時間との戦いです、タイム・イズ・マネー、1分間で100万円のチャンス、
クイズ・ターイムショーーック!(古。しかも長い。)

・・・な生活を送る私たち現代人にとって、あの姉弟を見たら

「なにをあんたたち呑気なことを・・・」

と舌打ちのひとつもしてしまっても不思議はないでしょう。
それを「人でなし」というなら、この世の中、人でなしだらけですよ!

彼らもあの後、しあわせになれるといいですね。


と、いい人ぶったところで、本日のご挨拶に代えさせていただきます。


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