部活日誌

部活動(ひとり文楽部)の記録など

床だけコンサート2013

2013-12-01 | 文楽

文楽三味線の魅力Vol.1  床だけコンサート2013


 






Vol.1プログラム 1.オープニング 2.三味線トーク 3.素浄瑠璃 新口村の段より 4.冬八景


「『床だけコンサート』って、「人形コンサート」てのはありえないわけで」
とのっけから呂勢さんのツッコミが入っていた通り、わたしも、床だけなら素浄瑠璃の会でいいんじゃないの?
と思っておりましたが、単なる素浄瑠璃の会というよりも、三味線をメインとした催しで、三味線好きにはとっても楽しいひとときとなりました。


まず、オープニングはシンから燕三、宗助、清志郎、清馗、寛太郎、清公の三味線六挺によるメドレー。木遣音頭が最初でしたかね。
もうここだけでもちょっと、うーん、鳥肌が立つほどステキ(はぁと)、となりますね。
そもそも三味線持つと男前度2割増しくらいになると思いませんか。紋付で既に2割上がってるので、どんだけ盛ってるんだと思うのは私だけでしょうか。

そして、「2.三味線トーク」です。

お題は燕三さんから「師匠にどのように叱られたかエピソード」というもので、宗助さん曰く、事前にまったく打ち合わせなし、いきなりのフリだそうで。
それでも皆さんトークが達者で大いに笑わせてもらいました。

宗助さんは団六時代の寛治師匠とのお話で、厳しく叱責された思い出を(笑)
清志郎さんは清治さんのお人柄のにじみ出る「わからないやつはそれまで、はいおしまい」という突き放され方を。
清馗さんは「同じく」と一言w
寛太郎さんは、呂勢さんいわく「孫だからそこまで言える、普通は遠慮してなかなか…」というところをご披露。
今日は「大きく弾け」次の日一所懸命稽古して大きく弾くと「小さく柔らかく」と言われ、どっちやねん、と。
すると師匠は「三味線というものは人によって何通りもの弾き方がある。日によって弾き方も変わるもんや」と理不尽なことを言われて、
「とまあ、このように、芸云々、稽古云々というよりも、師匠の理不尽に耐えるのが弟子のつとめでございます」
というオチで盛り上がりました。
清公さんの清介さんのお話では涙出たね。
清介さんは怒鳴ったりとかそんなことはなくよく教えて下さる師匠だそうですが、その教え方が
「こう、もっとこう、ぬるっと!バチをこうしてな、ぬるっと!
 もっとぬるっと、ローション塗ったみたいにぬるっとした感じ、わからんか?」
って… 
わかるかい!ww
「針金をな、こう剥がして芯とこをこう、ギギーーッとがーーっと、した感じや」
とか…
呂勢さんが「長嶋監督のような師匠で(笑)」と言う通り、清介さんの口調まで頭に浮かんでくるようで、死ぬほど笑ってしまいました。

燕三さんは、急遽師匠の代演をすることになった時(春日村、大夫は住さん)初日まで3日で覚えなくてはいけなくて、寝ずに稽古をしたけれでも、どうしても不安で師匠に電話して
「師匠、譜を見て弾いてよろしいでしょうか」
と頼むと、ひと言
 「ア・カ・ン!」(ガチャン!)
で、それでもなんとか初日を迎えて譜なしで弾き始めると、裏で聞いていた師匠は
「これは譜を見て弾いてるんちゃうか」と疑って、表に回って舞台を確認されたそう。
そこで譜面なしで弾いている弟子を見て、演奏が終わって盆が回るとそこに師匠が立っておられ、「よう覚えたな」と涙をボロボロと流された、という、最後はぐっと胸の詰まるいいお話で終わりました。

こういう、お師匠さんとのエピソードを聞かせてもらうのは本当に嬉しいですね。
特に、普段なかなか言えない、ブラックな部分とか…

休憩後、3.素浄瑠璃 新口村の段
呂勢・燕三さんの新口村は勢いとパワーあるそれに聞こえましたね。
会場の音響のせいもあったかもしれませんが、孫右衛門もパワフル、という。
それでも、「ああ、今じやない!」のところでたまらず飛び出す忠兵衛の姿や、最後の
「その藪をくぐるなら、切株で足突くなー」で、傘をすぼめて泣き顔を隠す孫右衛門の様子がありありと浮かんできて、ぐっとくるのでした。

そして、最後は 4.冬八景
浄瑠璃の中の冬景色を描いた部分をメドレーで。

1.源氏烏帽子折「伏見の里の段」より
2.伊賀越道中双六「岡崎の段」より
3.染模様妹背門松「質店の段」より
4.奥州安達原「袖萩祭文の段」より
5.中将姫古跡の松「中将姫雪責の段」より
6.信州川中島合戦「輝虎配膳の段」より
7.心中天網島「大和屋の段」より
8.花競四季寿「鷺娘」より

聞いていてわかったのは、岡崎の糸車の部分と、袖萩祭文、大和屋、くらいでしたかねー
久しぶりに清志郎さんの胡弓が聞かれて得した気分。

こうして並んで弾いてもらうとそれぞれの音の違いもちょっと拾えたりして。
硬水と軟水に分けると、燕三さんは硬水、寛太郎さんは軟水だなー、とか。
なんで水やねん、と言われましてもいやただなんとなく、としか言いようがないんですけども。
あと、バチの持ち方とか。これまた素人がそれ見てどうすんねん、と言われましても、いや、ただなんとなく。としか言いようはございません。


以上、思いがけず、というと失礼ですね、思った以上に楽しい会でした。

「Vol.1」「「床だけコンサート」をシリーズ化しました」とあるので、今後も続いて行くものと期待しています。
来年もぜひ、お待ちしております。