部活日誌

部活動(ひとり文楽部)の記録など

2012年10月地方公演

2012-10-07 | 文楽
今回の秋巡業は横浜・府中・橋本・立川、と東京・神奈川だけで4回もあるのですねー
こりゃ大変だ、こうしちゃいれらない!

と、まずは横浜に行ってきました。

【昼の部】

 ◆桂川連理柵
   六角堂の段 
   帯屋の段
   道行朧の桂川
  

【夜の部】
 
 ◆二人禿
 
 ◆義経千本桜
   すしやの段

   【配役表】



ん?帯屋?すしや?
最近みたばっかりじゃ・・・
すしやは2月と若手会、帯屋は4月に大阪でやってたですね。

ま、地方公演だしね。多くは求むまい。


などとぶつくさ言っておきながら、実際に公演を観たらこれが思いがけず新鮮で面白いというのが毎度の「魔法」なんですが。

今回も、やはり「魔法」はあった。 あ、舞台以外の紅葉坂でも。でれでれ

帯屋では清十郎さんの長右衛門と勘十郎さんのお半だったのですが、長右衛門が実直な中年男という感じで、なんというか
「いたいけな娘にうっかり手を出したおやじのすけべ心」
という部分が見えなかったのが、いい悪いは別として、私には好ましく思えました。
いやまあ、結果的には孕ませてるわけだから同じことなんだけどね。
ほら、このエロおやじめ!って思ったら最後までのれないのがこのお話じゃないですか。

「しょうがないよね。一瞬の気の迷いで人の一生が左右されることだってあるよ…
仕事はしくじるし、継母はあんなんだし…」

なんて、すっかり長右衛門の肩持ってみたり。

そんな主役級の方々や盤石の床はもとより、私が今回惹かれたのは、勘市さんのおとせ、一輔さんの長吉、そして玉志さんの儀兵衛!
 「笑いは取りに行くものではない。チャリこそ真剣に」
とはよく言ったもので。
いや、別に誰も言ってない。 今テキトーに私が作りましたすみません。

道行は三味線のせいかどうか、しっとり感がもうちっと欲しかった。
掛け合いの三味線でシンがあんなに突っ走っていいものなんでしょうか。
少なくとも、私は置き去りにされました。 弾いてないけど。


「二人禿」は、えーと。
玉勢さん、がんばってー 


そして「すしや」。

このすしやもずいぶんと飛ばしているというかスピーディというか若々しいというか、とんとんと進んでましたよね。
巡業仕様? それとも三味線が煽るから?

とはいっても、玉也さんの弥左衛門ももちろんよかったですし、勘十郎さんの権太も手に入ったもので、舞台上は凝縮されたよさがちゃんとあったですよ。

今回、私は簑一郎さんの婆に思いがけず泣かされたー
婆、いいですねぇ
床の津駒さんの、権太のもどりや父親母親の嘆きに説得力があって、婆の哀しさがひしひしと来たというのもあるかもしれません。

勘彌さんのお里ちゃんは勘彌さんらしいミニマムさのあるお里ちゃんで、それ程「弥助好き好き光線」はないんですが、所作が美人さん。

しかし。
やはりここは簑一郎さんの弥左衛門女房に、本日のさむこ大賞を。


では、また来週。府中でお会いしましょう。アディオス!