部活日誌

部活動(ひとり文楽部)の記録など

ようやく三部

2010-02-27 | 文楽
そして三部『曽根崎心中』。

正直、これがなんで大人気なのかわからなかった私。
録画で何度も見たり聞いたりしても、単純な話だし、一緒になれないなら死んじゃえ、ってどうなの?いくら時代が時代だとは言え、その話になぜ皆涙する?

と思ってました。
そして、今もそれは思ってます。

が。

今回、私は文楽を見て初めて、「人形しか目に入らない」という経験をしました。

大体が落ち着きないし、床見たり人形見たり人形遣いさんを見たり字幕を見たり、といつも忙しないわけです。

しかし、簑助さんのお初から「徳兵衛愛しい、恋しい」が溢れ出ていて、人形だという事を忘れるくらいの「気」を感じたらもう、気付けばふたりの世界にまんまと引き込まれていました。
録画じゃさすがにこの「気」は見えないもんね。

そして、なんで?とか、どうして?じゃなくて、ここはもう心中するしかないんだ。

と、「心中反対!」と書いて掲げていた私の心の中のプラカードをあっさり下ろしたね。
(それは舞台が終わって余韻が冷めればまた元に戻るんだけど)

また、天神森の道行きの曲がこれまた物哀しくてねー
この曲を作曲したという野澤松之輔という人は凄いね。あんた天才だよ。あたしゃ、しゃっぽを脱ぐよ。



が。 

やっぱり落ち着きのない私は、

「 『はすめし』か・・・ はすめし、食べたいなぁ。ああ、はすめし、お腹減った」

と、「はすめし」の文字を見る度に毎回考えることを、今回ももれなく考えてましたけど。

あと、天満屋の亭主は「なんぞ、お吸い物でも~ あーげましょ~」って奥に入ってったくせに、お吸い物持たずに手ぶらで戻って来てるのが気になるところ。


そして一緒に見に行った友達は

「徳兵衛、そんな大事な金をなぜ貸す! 金貸すからだよーもう!」

と最後まで怒っていました。

それには私も同感です。




今更ですが大経師

2010-02-27 | 文楽
ああ、どうかジョニーをエキシビションに出してプリーズ!

・・・などとオリンピックに気をとられている内に、すっかり時間が経って記憶も薄れがちな二部、『大経師昔暦』。


これはですねー、最初っから最後まで見た人すべてがツッコミまくりなんじゃないか?ってくらい、私にとっちゃつっこみどころ満載のお話しでしたね。


<大経師内の段>

(1)来年の暦を配る店の忙しい日に、猫とのんびり遊んでる場合か、おさん・お玉

(2)店の主・以春は昼間っからセクハラ・パワハラ三昧だし

(3)実家の両親のための借金を、なぜ手代・茂兵衛に頼むのか、おさん?
   例え親が「婿に頼むは娘の引け目になる」と言ったとはいえ。
   ていうか、親も親で、じゃあ娘にどうしろと?

(4)茂兵衛も茂兵衛で安請け合いしすぎ(主の印判を無断で借用)

(5)そして茂兵衛、そのこっそりがあっさり見つかり過ぎ!

(6)茂兵衛、かばってくれた玉の恩に答えること=玉の寝床に忍び込むこと、ってあんた・・・

そして、ここが一番のツッコミどころ、

(7)(玉とすり替わった)おさん、なぜ、寝所にひそんで来たのが夫か茂兵衛か区別がつかんのだ!


<岡崎村梅龍内の段>

(8)あれ?おさん、蘆に鷺の着物はいつの間に。玉の木綿の寝巻きを借りて着たまま逃げたわけじゃないんだ。


<奥丹波隠れ家の段>

(9)おさん、隠れてるんだからもっと変装するとかないのか。あっさり万歳に見つかってる場合ちゃうよ

(10)梅龍・・・ 早まり過ぎー!それじゃお玉があまりに不憫(涙)

(11)そして梅龍。いくら憎たらしいヤツでも助右衛門を道連れはどうかと思うよ・・・



以上、見ながら聞きながら私が脳内でつっこんだことをざっと挙げただけでもこんなに。

なぜこんな身も蓋もないようなお話を書いたんですか、近松つぁん?
と門左衛門さんに聞いてみたいところですが、案外

「え? なんで、って・・・別に・・・

 面白いかなーと思って♪」

ってあっさり言われるかもしれません。 いや、言わないと思う。どっちやねん。


しかし、この二部、大経師内で私は初めて松香さんに開眼。楽しげな語りですっかり引き込まれました。
梅龍内の文字久さんも、三部の曽根崎ではいつも少し苦しそうに感じたけど、こちらではたいへんによろしかったように思います、
って素人の私に言われてもねぇ~、ってところだと思いますが。

あと、お玉って巨乳だな、それじゃ以春がムラムラするのもわからんでもない、なんて思ったんですけど。
胸が厚いというか高いのとそうでないのって、役によって違うものなんですか?
ただ単に拵える人の好み違いだけ?  
初心者的疑問。

それから、玉也さん。「暴れる梅龍」でやっぱり活き活きしますね。
籠の棒持ってちょうちゃくさせたら天下一品。
今後も益々目が離せません。