百万人の人間から
幸福を盗んで
偽りあげた聖者の姿に
奇妙なシミが浮かび上がる
馬鹿が頑丈に作った
うその壁の向こうから
腐った血が染み出てくるのだ
自分で自分を黙らせて
言えなかった本当の言葉が
血に混じって腐ってしまった
嘘をかりあつめて
美しいものになったはずだった
極上の幸福を得たはずだった
それなのに苦しい
あまりにも苦しい
なぜなのか
誰も
本当の自分を
愛してはくれないからだ
偽物の聖者の陰で
鼠のように震えている
本当の自分の心を
栄光と称賛に包まれながら
孤独にちぎれていく
心の痛みに苦しみ続ける
馬鹿者は
矛盾の闇を
さまよい続ける