なんとなくはじめました(つれづれなるままに)

日々のよしなしごとをそこはかとなく書きつくります。

8/22三田落語会夜席@三田 2009.8.22 その3

2010年08月16日 14時07分31秒 | なんとなくの落語
続きです。


④柳家さん喬師匠 「千両みかん」


「青菜」のまくらで扇遊師匠から、

「本来であれば、おしまいはさん喬兄さんなのですが、兄さんからあたしが最後に出ろ、と言われました。

本当は、あたし、さん喬兄さん、で、仲入り後にあたし、で、さん喬兄さん、となるのでしょうが、そういうことになりまして・・・」

というわけで、さん喬師匠が高座に上がります。


ふだんはワタクシ、噺を聞きながらこっそりメモをとっているのですが、今回は前のほうの席が取れたので、噺家さんに見えるといけないな、と、メモを取るのを控えておりました。

これが幸い、まくらではさん喬師匠がメモをとるお客さんについて触れました。


「メモを取りながら聞いているお客さんがいるんですが、気になるんですよ。まわりでも注意しないんですかね。

『(メモをとるお客さんを肘でつつくしぐさ)ほら、ちゃんと噺を聞きましょうよ!(笑)』

あれはなんて書いているんですかね?

『あ、今間違えた』とか(笑)

『小さんより下手だ』とか(笑)

ここはそういうお客様がいなくて、本当にいいですね・・・」

(内心ホットしております・・・)


で、昔、おやつに青いトマトを食べたという話から「千両みかん」を。


夏にミカンが食べたくなり、そのために病になる若旦那のために、ミカンを求めて歩く番頭さん、

時代は江戸のこと、ミカンは冬のもの、とても手に入るものではありません。

「夏にみかん?あるわけねえじゃねえか!」と行く先々の八百屋でけんもほろろに追い出されます。

ある八百屋からは、主家殺しの下手人が、鈴が森で、竹ののこぎりで首を切られた、という話を聞いて、がぜん恐怖心が増してきます。

「死神」とは一転し、その恐怖心を面白おかしく演じます。先ほどの重い雰囲気をさらりと変える一席でした。


⑤入船亭扇遊 「一分茶番(権助芝居)」


まくらでは噺家の演じる素人芝居の話を。

「『鹿芝居』といいまして、新橋演舞場で、噺家の演じる芝居を演ったことがありました。

噺家といっても芝居のほうは素人ですから・・・、で、後でお客様から誰が良かったですか、と訊いてみたら、黒子が形が良かったと・・・、

これが誰かと言ったら(坂東)三津五郎さんですよ(笑)。そりゃあ、本職だから形がいいわけです」


で、「一分茶番」を。


以前、同じ仏教伝道センターで(当時は「ビクター落語会」という名前でした)扇遊師匠の「花見の仇討」を聞いたのですが、これがとても素晴らしくて・・・。

以来、扇遊師匠はワタクシの大好きな噺家さんの一人になりました。

今回の「一分茶番」もそれに勝るとも劣らない出来だったと、個人的には感じております。

扇遊師匠が演じると、高座の扇遊師匠の姿は消え、そこには長屋のご隠居やら、権助やら、落語に出てくる面白おかしい連中の姿しか見えなくなってしまいます。

まるでイタコのように自分の体を使い、落語の登場人物を呼び出し、その人になり変わって演じていく、そんなふうに感じさせてくれる噺家です。

(あくまで個人の感想ですが・・・)


一度、師匠の高座を見てしまうと、しばらく見ないと怪しげな禁断症状の出る、そんな噺家さんの一人です。


(長々とすみません。これで終わりです)
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