なんとなくはじめました(つれづれなるままに)

日々のよしなしごとをそこはかとなく書きつくります。

落語の国からのぞいてみれば 2008.10.1

2010年08月06日 12時07分33秒 | なんとなくの落語
堀井憲一郎氏・著の「落語の国からのぞいてみれば」(講談社現代新書)を読み終えました。

落語のガイド本でありながら、落語を通し、江戸の人々がどういう生活をしているのか、詳しく触れています。


後書きにもあるとおり、講談社の「本」という雑誌に、氏が連載されていたものを新書化したものなので、それぞれの章が読みきりになっていて、すらすらと楽しく読めてしまいます。

年(年齢)、時間、死、名前、金、旅、相撲、見世物、結婚、恋愛、侍、月、酒・・・。

落語に出てくるこうした事柄を取り上げ、時には噺の一節を紹介しながら、その時代に生きていた人々のものの考え方を考察します。


例として出てきたのが「還暦」。

堀井さんが、馴染みの飲み屋の大将から「おれも、もう還暦だ」と言われます。

「ああ、もう今年還暦ですか」

と、堀井さんが答えると、

「まだ誕生日を迎えていないから還暦ではない」と、大将。

それを聞いて、堀井さん、悩んでおられます。


そもそも昔は、年齢は数え年で、年が改まるとみんな歳をとっていました。

つまり、還暦は、十干・十二支からなる暦が一回りするから還暦というのであって、自分の年齢が基準になるわけではないのです。

これが、数え年の考え方なら無理なく理解できるけれど、いつの間にか還暦は、「60歳」の別称のようになってしまいました。


ワタクシなりに解釈すれば、この本は「落語」という一つの言語(?)をネイティブ・スピーカーの立場から優しく教えてくれる教科書のような本です。

以前、週刊文春で連載中の「ホリイのずんずん調査」でも書いておられましたが、氏は、この4年間で「1195ほどの落語会で5200ほどの落語を聞いた」そうで、

加えて京都のお生まれなので、上方落語も小さい頃からしっとりと体に染み込んでいようという・・・、もう落語の鑑賞歴に関しては、氏をしのぐ方は、現在ではそうはおりますまい。


落語のガイドブックは、数多く出されていますが、落語を語ろうというのに「落語の歴史はそもそも・・・」なんていう、小難しい本も少なくない中、この本は、落語を新しい切り口から楽しく解説しています。

巻末に、この本で引用された本や落語のCDも詳しく紹介されています。こちらも興味深いですね。
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