<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

高騰し続ける中国の不動産市場、その行く末は・・・

2013-11-27 | 中国経済

これまた久しぶりとなる連日の更新。
ちょっと頑張ってみようか・・・と。

本日のテーマは「中国の不動産市場」。
日本では「いつバブルが弾けるのか?」と散々言われ続けていますが、弾けるどころか、どんどん膨張している感じですね。恐ろしいもんです。

国家統計局がこのほど発表した全国主要70 都市の10 月の不動産価格は、前年同期比で浙江省温州市を除く69 都市で上昇。このうち上昇幅が10%を超えた都市は21 都市にも上ったというから、まあ日本では考えられないですね。。。

人間、裕福になってくると、消費に充てる金額自体が上がっていくこともあって、インフレに強い不動産に資金が集まっていくのは自然の摂理。
つまり、中国の不動産価格が落ち着くのは、経済成長がもう少し鈍化しない限り望めないということかも知れない。
もっとも、日本のバブル同様、適当なところで落ち着くという結論を迎えられるほど甘くない結論が待っていそうな気配が・・・。

そんな不動産祭りが続く中国ではあるものの、全国一律の状況とはいかないようだ。最近発表された住宅指標を見ても、1級都市や2級都市は住宅在庫を減少させているが、3級都市では逆に二桁増という状況に陥っているのは実に興味深い。
簡単に言うと、既に地方都市では不動産がだぶついてきているのだ。

こうした状況に呼応するように、不動産価格にも都市間格差が表れてきている。
10月の新築住宅価格の上昇率を比較すると、大都市ほど高く、地方都市ほど低くなっていることが分かる。
3級都市に至っては、既に実勢価格が下落に転じているところもあり、それでも買い手が付かないという事態も発生しているようだ。


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これまで中国の不動産市場を語る場合、国全体を見て「バブルかどうか?」を論じることが多かったが、今後はこうした観点を改める必要があるだろう。
一部報道によると、全国で買い手のついていない在庫住宅が現時点で6,800 万戸あり、特に3~4級都市と呼ばれる地方都市の多くで供給過剰が深刻化しているとのこと。とりわけ、こうした余剰物件は中西部の中小都市に集中しているようなので、やはり所得水準の高低が需給バランスに影響していることは間違い無さそうだ。

ご承知のとおり、中国は広大な土地を有しているうえ、貧富の差も激しい。
最近の大都市部での不動産高騰を支えているのは、一部富裕層の旺盛な買い需要と言われており、まさに「金は持っている人のほうに流れていく」の典型的な姿と言えるだろう。

こうした需給バランスが崩れた状態であるにもかかわらず、なおも各地で不動産開発が進むのは何故なのか・・・?
ここには中国特有の事情が関係してくると筆者は見ている。

その代表的な背景と思われるのが、次の2点。
ひとつ目は、お決まりの不動産開発の手法によるもの。
中国の場合、土地は全て公有地であり、不動産開発に当たっては通常、70年という単位の土地使用権を購入することになる。
つまり、政府がOKを出さない限り、開発に着手できないワケで、ここに需給とは無関係の「役人の出世」という要素が顔を覗かせてくる。
とりあえず、目の前にキレイな街が出来上がって、すぐに文句を言う市民はあまりいませんからね。。。
こうした権限をもった高級官僚には、都市開発で設けようとする連中がドンドン集まってくるワケです、ハイ。


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次に、上記にも関連してくるが、多くの場合、こうした都市開発で元請けのような役割を果たすのが、日本におけるゼネコンにあたる大手国有企業、もしくは地方政府系企業。
つまり、ここでも政府の意向が強力に働いているということに。
しかも、現政権になって、汚職・賄賂の類に対する締め付けがかなり厳しくなってきたので、合理的に甘い汁を吸おうと考えた場合、不動産開発というステージが最も適しているということは容易に推測できる。
もっとも、あくまで推測に過ぎないが。。。

で、結論として、中国の不動産バブルは起こるのか?
筆者の見立てでは、当面はないと見ていいだろう。
理由は単純明快。
ここまで述べてきたとおり、乱発している不動産開発の根源は政府にあるんだから、結局は政府の責任で問題解決に当たらざるを得ないのである。
加えて、政府は不動産融資を厳しく規制する方針を打ち出すなど、表向きは抑制の市政を見せているが、内需拡大が思うように進まない国内経済の状況を考えると、不動産市況の低迷は何としても避けたいところ。
故に、金を借りることなく次々に資金を不動産に投入できる層を対象とした規制が強化されていないのである。
つまるところ、現政権もこれまで同様、本気で不動産市場を落ち着かせようという想いはないのだろう。この「落ち着かせる」という意味は、即「市場を下落させる」ということに繋がるのだから。。。

しかし、最も怖いのは、世界経済の動向。
もうこれだけは、中国政府のコントロール下にないワケで。。。
ある意味、外界から隔絶された感のある中国不動産市場だが、資金自体は世界的な金融緩和でジャブジャブ供給されている投機マネーが多数含まれる。
米国でもくすぶっている金融緩和の縮小が「中国不動産バブルの終わりの始まり」になる可能性は十分あると思われる。


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