バンコク編が終了したので、次はベトナム編へ・・・と思っていましたが、あまり【番外編】ばかり続けていると、看板に偽りアリとなりかねないので、しばらく原点回帰して中国ネタに戻ることに。
で、今回は、いま日本でもホットな話題、「PM2.5」。
この言葉については、もはや解説するまでもないですよね。
日本で連日のように報道されていますので。
実はこの話題、昨年の終わりごろからホットな話題になりそうだったので、取り上げようかと思っていたところ。
正直言って、ここまで一気にブレークするとは・・・という感じ。
でも、日本の報道はいつもの如く、中国バッシング一色で、どこまで本当か分からないと思っている方も多いのではないでしょうか?
私も日本にずっと住んでいれば、同じような感覚を持つと思いますので。
だって、何だかんだ言っても、13億人を超える人口を抱える国。
それだけの人が一応生きているワケなので。。。
で、図らずも筆者もその住民のひとりとして、はや3年半。
悪い言い方をすれば、結構、毒されたかも・・・という感じ。
ここで生活している人間から率直に言わせてもらうと、中国政府の数値がいい加減なものだったとか、大気や地下水の汚染が深刻というのは、全て想定内の問題。
これまでも、たびたび取り上げられ、また実体験を積んできていますから。。。
例えば、ここ上海の例から。
今回は、北京を中心とする中国北部の状況が深刻なため、そこまで取り上げられていないものの、ここ上海の状況も大差ないと思っていい。
筆者が赴任したのは、2009年の8月頃。
当時、上海万博まで残り半年強ということもあって、インフラ整備が市内各所で行われており、大気の状態はかなり悪かったと記憶している。
正直、かなり埃っぽかったですから。
当時、ウチのスタッフと一緒にタクシーに乗車していた時、彼女が発した言葉をいまでも鮮明に覚えている。
「上海は晴れているのに、青空ではないんですよね。」
筆者、鈍感なせいもあるのか、そこまで考えたことはなかったが、言われてみると確かに毎日、そのような状況だ。
何か、幼い頃の我が故郷/北九州市に通じるものがあるなぁ・・・と。
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ところが、2010年春、上海万博が始まるや否や、大気の状況はめっきり改善されることに。
結局、半年間に渡る上海万博期間中、大気汚染が取り上げられることはほとんどなかった。
史上最高の入場者数を記録し、「国際都市」としての地位を不動のものにする必要があった上海市が、世界各国から押し寄せる万博来場者に悪い印象を持たれないよう、あらゆる手段を尽くしたことは想像に難くない。
実際、当時は上海市郊外の工場一帯では、有害物質の排出量が多い業種の工場は操業規制などが行われているとの噂が絶えなかった。
そして、安心していたのも束の間、万博終了と同時に大気の状況も平常どおりに戻ることに。
このあたりの変わり身の早さ、さすがです。。。
ここに当時の状況を物語るエピソードがある。
万博終了直後の週末、中学生チームが朝早くに野球の試合に出かけたところ、明らかに予定よりも早い時間に帰宅してきた。
その理由を聞いてみると・・・
「霧が凄すぎて、打球が見えないから」とのこと。
つまり、霧が濃すぎて、わずか数十メートルの視界が確保できず、しかも改善の見込みがないから中止となったらしい。
一般論で考えると、ちょっと信じがたいことですね。
そもそも「霧」というのは朝早くに発生して、徐々に霧が晴れていくというのが一般的。
ただ、この日は午後2時、3時になっても、大気はもやったまま。
まあ、いわゆる「霧」ではなかったということか・・・と。
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同様の経験は、2011年8月、河北省唐山にて。
唐山と言えば、北京の首都鋼鉄が北京五輪の際に工場を移転させた地。
ここでは大規模な工業団地の整備が進められており、日本の経団連などにも企業誘致の声が盛んに掛かっている。
そこで、筆者達も現状を把握しようと現地を訪れてみたのだが、大気の状況は最悪と言っていいほどだった。
視察行程中、屋外で説明を聞くことも多かったワケだが、その際は皆、大気中に含まれる鼻をつくような異様な匂いを感じた。
こうした経験は、筆者の中国生活においても初めてのこと。
しかも、真夏だというのに、朝から夕方まで終始、大気はもやがかかったような状態のままなのだ。
これを現地政府関係者に聞いてみると・・・
「これは霧だ」との回答を繰り返す。
うーん、真夏の暑い日に一日中、霧が発生するなんてあり得ないでしょ。。。
でも、何度聞いても答えは「霧」とのこと。
そう答えなければいけないことになってるんでしょうね。。。
ちなみに、唐山には石油関係のプラントなども立地しており、文字どおり「重化学工業地帯」。
最近の汚染状況調査でも、キッチリとBEST10入りしているところを見ると、汚染状況は当時と変わっていない、いや更に酷くなっているのだろう。
話を上海に戻すが、上海ではこのところ、大気の汚染度合いは当日の天候に左右されているようだ。
例えば、晴れている日などは珍しく?青空が広がっているが、曇りや雨模様の日はスモッグが掛かったような状態に・・・といった具合だ。
上海でも、以前から汚染指数といった数値を公表していますケドね。
ま、北京と同様、どこまで信用していいものか、悩むところです。
(既に信用できない時点で、数値の公表の意味があるのか・・・との議論も)
こうした状況の中、中国から地理的に近い福岡などでは影響を危惧する声が多数挙がっている。これもまた頷ける話である。
元々この類の話には、以前から伏線となる事案が発生している。
その端的な例が「6月の運動会シーズンの光化学スモッグ発生」。
数年前からスモッグの発生が原因で運動会が延期になるケースが発生しているが、発生原因が特定できないため、中国への抗議などは行われてこなかったが、今となっては「もう少し早く対策を練っていれば・・・」と思えなくもない。
ただ、大気は当たり前だが全世界つながっている。
中国での汚染は、日本にも影響を及ぼしかねない深刻な問題。
(これは、原発事故も同様)
領土問題の影響で日中関係は悪化したままだが、こうした生活レベルの問題に関しては協力を惜しまない姿勢を示すことが、今となっては肝要であろう。
しかも、中国の人々は良くも悪くも単純明朗といったところがある。
国民的関心事となっているPM2.5の問題で、日本が協力姿勢を示すことで反日感情の緩和に繋がるという視点も必要なのかも知れない。
北九州市は重化学工業で発展したが、深刻な公害も経験した街。
こうした経験を今こそ中国というフィールドで生かすべきだろう。
「そのために何ができるのか・・・?」
自問自答しながら、日中双方の利益になるよう知恵を絞っていきたい。
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そちらは逆でしょう。日本を悪く放送してるのでしょう。
離れてみる客観性も正しいことも有ると思います。