ひまわり先生のちいさな玉手箱

著書「ひまわり先生の幸せの貯金箱〜子どもたち生まれてきてくれてありがとう」

わたしは傷を持っている

2016年07月05日 | こころ
「わたしは傷を持っている。

でもその傷のところから、

あなたのやさしさがしみてく。」


水彩画・ペン画に詩を添えた作品を口にくわえた筆で創作する詩人、画家の星野富弘さんの言葉より

***


私の最大の「傷」は、親を失ったことかもしれない。

両親が相次いで他界した。

母が急逝して3年も経たないうちに父が後を追うように亡くなってしまったのは、

なんだかんだ言いつつも、共に支えあって生きて来たのだろう。

父は、妻に先立たれても、気丈に振る舞って一人暮らしを続けた。

毎日、母のお仏壇に供えるために白ご飯を炊く父が愛おしかった。

突然、父は倒れて亡くなった。

母の三回忌を終えたばかりだった。哀しかった。

私はその時に、防波堤を失った感覚を覚えた。

防波堤の向こうにある荒波の海があることを

両親が生きている時には、気がつかなかった。

いや、防波堤の存在にすら、気がついていなかった。

荒波の海を見下ろし、海風を感じながらそこに立つ私は、
凛として立ちつつも、私の心は恐れおののいていた。


父の三回忌を終え、今思えば、私の後ろには…子どもたち。

私が生きていることは、子どもたちの心の防波堤になっているのかもしれない。

これが、オトナになるということなのか…。

私は、たくさんの傷を持っている。
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