ひまわり先生のちいさな玉手箱

著書「ひまわり先生の幸せの貯金箱〜子どもたち生まれてきてくれてありがとう」

DVとは

2014年12月21日 | カウンセリング
いつもパートナーの機嫌をそこなわないように気を使っていませんか?

パートナーを怒らせないためにあきらめたことがいろいろありませんか?

あなたが怖いと感じたら、もうそれは暴力だと疑ってみましょう。

あなたが不自由だと感じたら
おそらく、それはドメスティック・バイオレンス(DV)です。


ドメスティック・バイオレンス(DV)とは、

親密な関係において、一方が他方を、
コントロールし、従わせようとして用いる
威圧的な行動パターンのこと。

威嚇、理不尽な行為などによって、
恐怖心を起こさせることで、支配と抑圧の構造を作り上げるのです。

加害者は、情緒不安定で不安が強く、
その時の気分によって気に入らないことが変化します。



内閣府の調査(2012年)によると、
なんと!
既婚女性の3人に1人がDV被害を経験しているというのです。

また、23人に1人の女性が生命に危険を感じる程の暴力を受けていることが分かりました。

ちょっと前まで4人に1人だったのが、3人に1人に増えているなんて…ショック。


また、警察の犯罪統計(2011年)によると、

配偶者間における犯罪の被害者は、

暴行事件は93.2%、
傷害事件は93.6%、
殺人事件は56.3%が妻である。

暴力というのは本質的に理不尽なものであり、「安心」「自信」「自由」という人間らしく生きる権利を奪うものである。


理不尽なことには、「怒り」を使えれば良いのだが、
専業主婦であるなどで、経済的支配を受けていると、
怒りも抑圧しがちである。

ジェンダー(社会的、文化的性差、いわゆる男らしさ、女らしさ)
による不平等と関係するような価値観、伝統、習慣などが複雑に絡み合っていると考えられる。

たとえ夫婦であっても個々とした個人の人格があり、妻は夫の所有物ではない。


《DVの本質》
パワーとコントロール(力と支配)

①身体的暴力・・・殴る、蹴る、引きずりまわす、物を投げつけるなど

②心理的暴力・・・大声で怒鳴る、罵る、脅すなど

③性的暴力・・・・・性行為を強要する、避妊に協力しないなど

④経済的暴力・・・生活費を渡さない、働きに行かせないなど

⑤社会的暴力・・・女性の行動の制限、友人に会わせないなど


何よりも辛い事は身体に受けた傷やアザだけでなく、

目に見えない心に受けた傷が被害者女性にとって一番辛く、
長い時間をかけての心のケアを要する。

心理的暴力もまた身体的な暴力とほぼ同等であると考えられる。


《暴力の背景にあるもの》

DVの背景にあるのは、性差別社会である。

つまり、経済的、社会的に男性が優位に立つ社会、
女性が経済力を持つことが困難を伴う社会、
子育てが女性の役割とみなされ、

その労働に対して経済的価値が付与されていない社会、
妻には夫を世話し支える役割があるとされている社会、
男性の攻撃性や暴力性が男らしさの証と容認されている社会。

このような社会意識(ジェンダー)がDVを許してきたのである。

ジェンダー・・・生物学的性差(セックス)ではなく、
社会的・文化的・歴史的に作られた性差のこと。

いわゆる「男らしさ」「女らしさ」「男だったら・・・」「女のくせに・・・・」とか「妻は夫に服従するものだ」「家事や育児は女の仕事だ」という刷り込みを言う。


《暴力が与える精神的影響》

・恐怖と不安 = 安心、安心でない状況

・無力感 = 自信がもてない

・行動の選択肢がない = 自由がない

予測不可能な突然の激しい暴力がいつ起こるかわからない、
安心で安全な状況にない日々を恐怖で過ごすことは、
精神的、肉体的に大きなダメージを受けると言ってもよい。


身体的、精神的暴力により、被害者女性は
「私がいたらないから」
「私が悪いから暴力をふるわれる」
と自分を責めていくようになる。

《被害者心理》

・暴力は安心や自己尊重感を奪う、自信がもてない

・自責感情が強い

・うつ傾向にある

・子どものケアができなくなる

・孤独感、無力感が深い


《子どもに与える影響》
6~7割が身体的虐待、全ての子どもが精神的虐待
・暴力でものごとを解決することを学習する

・暴力を容認する傾向

・児童虐待とDVは重なっていることが多い

・全ての子どもが本来持っている個性やすばらしさを「暴力」という理不尽な力によって奪われていく

大人たちが頻繁に使っている「暴力」というものを子どもたちは当たり前のことと感じ取り確実に感染されていく

・不安感、睡眠障害、摂食障害などのストレス症状

・無力感、罪悪感

・他者とのコミュニケーションがうまく取れない

・感情をうまく表現できない

・身体の発育の遅れ

・自分を認めてくれない、誰も信じられないと思う反面、
それでも自分に関心や認めてほしいという気持が
他者や自分に対して攻撃的な行動として現れることもある

DVのある家庭で育った子どもは暴力のない家庭で育った子どもに比べて
成長してから加害者になる確率が高いといわれている。

他者に対して暴力を振るわなくても自傷行為を繰り返したり、
薬物、アルコールに依存するなど自分自身に対して攻撃を向けることがあるといわれている。

直接的な暴力を受けない場合でも、

暴力を振るわれる光景を目撃することは、

まして自分の父親だったり、

母親だったりすれば大きな衝撃を受け、

直接殴られたと同様にショックを受ける。


しかし、過去40の調査・研究から、

自分が虐待されたから自分の子どもに同じことを繰り返し行うのは

3分の一から5分の一という統計も出ている。


多くはその辛さを身をもって体験しているだけに
あんな親にはなりたくないと
自分の人生を切り開いている男性、女性がいるのも事実である。


《加害者(バタラー)の特徴》

職業の有無や教育レベル、職種(大学教授、大企業の管理職、弁護士、警察官など)、学歴、階層に関係なく起きている。


バタラーとは自己コントロールの下手な男性だという誤解と、
DVは自制心の喪失による「暴力の自然爆発」だという偏見がある。


バタラーとは、妻を強制的に服従させるために「暴力を選ぶ男たち」であって、
DVとは「恐怖による支配」である。

・外面(公)と内面(私)の不一致

・矮小化と否認

・被害者非難と責任逃れ

・多様な支配行動

・嫉妬心と所有欲

・子どもの利用と虐待

・酒・薬物への責任転嫁

・自己変革への抵抗 など

(参考文献 森田ゆり「エンパワメントと人権」解放出版社 

同「癒しのエンパワメント」築地書館 

藤森和美「被害者のトラウマとその支援」試信書房 

沼崎一郎「なぜ男は暴力を選ぶのか」かもがわブックレット 

同 特集 DV法をめぐってより 敬称略)
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