ひまわり先生のちいさな玉手箱

著書「ひまわり先生の幸せの貯金箱〜子どもたち生まれてきてくれてありがとう」

不安

2012年04月24日 | メッセージ
不安にともなう身体症状ってご存知ですか?
不安は、様々な身体症状をもたらします。
お医者さんで異常が見つからず、
ストレスだと言われるケースは、
腰痛で、8割もいらっしゃるそうです。
慢性的な胃の不調で、病院で検査をうけても結果は“異常なし”という方が9割だとか。
実は、アナウンサーをしていた20代の頃の私も
胃の痛みを訴え、毎年バリウムを飲んで検査をしても、
毎回異常は見つからず
会社の先輩方から
『若いのに、癌のわけない』と笑われてました。
中には「症状はあるのになぜ?」と、不安な日々を送り、
症状は悪化の一途をたどる人もいます。
日常生活にも支障を来すようになることがあります。こうした症状を「機能性胃腸症」と言います。
通常の検査では「正常」となってしまうため、以前は病気として扱われてきませんでした。

【機能性胃腸症(ディスペプシア)】
・慢性のもたれや痛みなど
・異常が見つからない

きっと、私も心理的なものから来る胃の痛みではなかったかと
今は、思います。

不安とは、「漠然とした未分化な怖れの感情」のこと。

『外部からの存在に対する脅威という現実的な不安』と
『心理的葛藤からくる神経症的な不安』
にわけられることもあります。

恐怖は自己保存本能からくる危険信号として本来備わっている有益な反応ですが、
これが過度になったり反復して現れる不合理な反応になると
病的な不安状態と考えられます。

不安と恐怖は、非常に近い情動反応であり、
同様な身体的変化をともなうことが多く、
心身症や神経症になってしまうこともあります。

■不安障害の身体症状

これまで不安神経症と考えられていた病態にはいろいろなタイプがあります。
最近2つの病態に大きく分類されるようになりました。

不安神経症
①パニック障害(急性の不安発作をおこす)
②全般性不安障害(慢性的な不安が持続する)

米国精神医学会の「精神障害の分類と診断の手引き(DSM-Ⅲ-R)」による不安障害の症状をみてみると、
パニック障害では13の症状のうち10、
全般性不安障害では18の症状のうち13が身体症状。
不安という心理反応はいろいろな身体症状として現れることを物語っています。

不安障害の診断基準(DSM-Ⅲ-Rによる)
【パニック障害】
4週間の間に4回のパニック発作、または1回以上の発作の後、
つぎの発作がおこるのではないかという恐怖が少なくとも1ヵ月の間持続する。
パニック発作とは、以下の症状のうち少なくとも4項目が出現するもの
1 )呼吸促迫(呼吸困難)または息苦しい感じ
2 )めまい感、頭が軽くなる感じ、ないしふらつきの感じ。
3 )心悸亢進、ないし心拍数の増加(頻脈)
4 )身震い、または振戦
5 )発汗
6 )窒息感
7 )嘔気、または腹部の不調
8 )離人感、ないし非現実感
9 )しびれ感、ないしうずき感(知覚症状)
10)紅潮(突発性の熱感)、ないし冷感
11)胸痛、ないし胸部不快感
12)死への恐怖
13)気が狂ったり、なにか制御できないことをしてしまうという恐怖

【全体性不安障害】
非現実的で過度の心配(予期憂慮)が
2つ以上の生活環境に関するものについてみられ、
6ヶ月以上にわたってこれらの心配に悩まされるというもの。
つぎの18項目の症状のうち、少なくとも6項目が不安のあるときしばしば存在する
運動性緊張
1 )身震い、攣縮、動揺する感じ
2 )筋肉の緊張、痛み、うずき
3 )落ち着きのなさ
4 )易疲労性
自律神経機能亢進
5 )呼吸困難、または息苦しい感じ
6 )心悸亢進、または脈拍の促迫(頻脈)
7 )発汗、または冷たく湿った手
8 )口渇
9 )めまい、または頭のふらつく感じ
10)嘔気、下痢、またはその他の腹部の苦痛
11)紅潮(突発性の熱感)、または冷感
12)頻尿
13)燕下困難、または“咽喉の異物感”
警戒心
14)緊張感や過敏
15)過度の驚愕反応
16)集中困難、または不安のために“心が空白となる”こと
17)入眠困難や途中覚醒
18)易刺激性
 臓器別に分類しなおしてみると、呼吸・循環器系、消化器系、その他の自律神経症状に分けることができる。
パニック障害では、呼吸・循環器系の症状が主で、全般性不安障害ではその他の自律神経症状が多い。
その理由は、パニック発作の性質によるものであり、急激な身体症状(とくに呼吸・循環器系の症状が強い)とともに
強い不安、死ぬのではないかという恐怖感をともなう発作であるからである。

パニック障害の治療法としては、脳内の以上興奮を沈静化する抗不安薬や抗うつ薬という薬物療法と、
考えかた修正する心理療法という対照的な治療法が存在する。
一方、全般性不安障害では、
慢性的な不安状態なので、急性の呼吸・循環器症状よりも、
全身の自律神経症状が出やすいという傾向があると考えられる。

不安は、ストレスに対する心理的な反応の代表的なもので、
身体症状をともないます。
これらの反応のしかたは個人差が強く、
心理社会的ストレスの強さと個人の心理的・体質的要因との関係により発現するものといえます。
ささいなストレスに対して過敏に反応する人と
大変なストレスでも冷静に対処できる人がいるし、
その現れ方も心理的に出やすい人、身体的に出やすい人などの特徴に違いがあります。
私は、どちらかというと身体的に出やすい方です。

また、身体症状のなかでも、呼吸・循環器系に出やすい人、消化器系に出やすい人さまざまです。
各症状についてご紹介します。

循環器系
不安状態にともない、心臓は頻脈となり、
心筋の収縮力は増大し、心拍出量は増加します。
また、抹消血管が収縮し、血圧が上昇します。
顔面が紅潮したり逆に蒼白になったり、手足は冷たくなるという減少がおきます。
場合によっては、心房性・心室性期外収縮などの不整脈が一過性に出現したり、
冠動脈病変をもつ人では、
狭心症や心筋梗塞の誘因となることもあります。

呼吸器系
呼吸は、不安によって速く、浅くなります。
ときにため息をついたり、呼吸のリズムが不整になります。
これが過度になると過換気症候群といい、
呼気中に炭酸ガスを多く排出し血液中のpHがアルカリ性に傾き、
手足のしびれ、けいれん、
場合によってはめまい、失神などを生じることがあります。
過換気症候群は一過性のもので、
ある時期が経過すると自然にもとに回復し後遺症は残りませんが、
いったんこれを経験するとまた「発作がおこるのではないか」という
不安(予期不安)が生じ、同じような状況を避けるようになったり、
外出がこわくなったりすることもあります。

消化器系
胃腸など内臓の血管は収縮し、
消化管の運動は抑制されます。
また、唾液や消化液の分泌も抑制されます。
ただし、副交感神経が優位に反応した場合には、
逆に胃液の分泌が増加し、消化管のぜん動が亢進する場合もあります。

このように胃腸の症状の現れ方は様々で、
吐き気、胃もたれ、胃部不快感、腹痛、便秘、下痢、食欲不振、口渇、のどの違和感などがみられます。
これらの症状は、多くは一時的なものでしばらくすると回復へ向っていきますが、
中にはしだいに胃炎や胃十二指腸潰瘍などの
器質的病変へと進展していく場合とがあるので、注意が必要です。

筋肉系
筋肉の血管は拡張し、筋緊張は亢進し、
場合によっては振戦・震えが生じることもあります。
この状態が慢性的に持続すると
肩こり、頭痛、背痛、腰痛などの種々の筋肉痛の症状として固定していくことがあります。

皮膚
皮膚の抹消血管が収縮するとともに、
手足は冷たくなり、手のひら、足のうら、わきの下に汗をかきます。
これを不安・緊張などの心理的変化が関係しているので精神性発汗といいます。

熱いところで全身に汗をかく温熱性発汗は、
体温調節の役割で精神性発汗とは違います。

また、不安状態が長くつづくと
円形脱毛になったり、
白髪になったり、毛髪にも影響が出ることがあります。

不安にともなう身体症状は、全身の自律神経系(とくに交感神経系)の過剰な興奮による変化ともいえます。

個人の性格的・体質的素因により現れ方には個人差が大きいですが
心理的な身体症状は、カウンセリングで改善することが良くあります。

参考文献
「不安症の時代」不安・抑うつ臨床研究会
日本評論社
コメント (2)
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