福島県立高校で働く教育労働者の訴え
今、普通に学校で授業をしているけれど、放射線量は明らかに画然と高い。本当ならこんな場所で授業をやっていてはいけない、子どもたちをこんな場所にいさせてはいけないと思います。
学校でモニタリング調査もしているけれど、ただ測るだけ。
数値が上がったらどうするのか。何もしない。〝もっと高線量の学校でも授業をやっているからいいんだ〟ということなんです。
さらに政府は4月に警戒区域と計画的避難区域を見直し、年20㍉シーベルト未満の地域には住民を帰還させようとしています。
そんなことは絶対してはいけない。
高齢者が「地元に帰りたい」と思うのはよくわかります。
でも放射能が目に見えたら、帰りたいと思う人は誰もいないと思う。
警戒区域見直しに伴い、4月から小中学校を再開しようとしている市町村もある。
「子どもたちは絶対に帰してはいけない」と言いたい。自殺行為です。
多くの子どもたちが3・11直後、原発が爆発しているなんてまったく知らず、屋外に何時問も並んで水くみをしていたんです。
すでに大変な被曝をしている子どもたちに、これ以上被曝させてはいけない。
避難区域に指定された相馬・双葉地区の県立高校8校は開校できなくなったため、5月に別の学校の空き教室や体育館を間借りして授業を行うサテライト校(=分校)が県内各地に設置されました。
一つの高校が最多で五つのサテライト校に分散されています。
8校のうち2校は、緊急時避難準備区域の指定解除に伴い10月に学校が再開され、今もサテライト校を設置しているのは6校と2分校。
この高校について県教委は4月から基本的に各校1校に集約することを決めた。
サテライト校に通っている生徒たちは今、元の高校のサテライト校を集約した移転先の高校に通うのか、それとも今通っている高校に転校するのか、迷っています。
例えば浪江高校は二本松市の安達高校といわき市の好問高校にサテライト校が設置されていましたが、4月からは本宮市の本宮高校に建てた仮設校舎を移転先とすることになった。
親元から通うことができない生徒のために、郡山市内の下宿屋・旅館を県が借り上げて用意している。
自分が在籍している高校に通うために、親元を離れて一人暮らしせざるを得ない生徒も出てきます。
他方、1人暮らしは無理だから転校せざるを得ないという生徒もいる。
親から「1校に集約するなら、なぜ最初からそうせずにばらばらに分けたんだ」「なぜ今さら統合するのか」という声も上がっています。
避難先でようやく仕事を見つけたばかりの親が、高校の都合で引っ越すなんてこともできない。
生徒たちは放射能については知識も乏しいし、「大丈夫、安全」と大宣伝されている中で、今いちピンとこなかった感じでした。
だけど僕はずっと「危険なんだ」と話して、「家に帰ったら必ずうがいと手洗いをしろ。
風呂で洗い流せ。
外ではマスクするように」と言い続けた。
「これ以上内部被曝をさせてはならない」と、そういうことを一生懸命やっている教員は結構います。
政府や東電の対応のすべてが許せない。
おかしい。
だましている。
中国で事故を起こした新幹線を埋めたことがあったけど、日本政府がやっているのはそれ以上。
「ただちに健康に支障はない」と言いながら、数年先にはどれだけの人数に影響が出てくることか。
しかし政府はその時に対応するつもりもない。
被曝して何年もたってから病気になる子どもたちを見たくない。
とにかくやることが遅い。爆発直後に避難させるべきだった。
何カ月もたってから子どもたちの体を測定して「あなたは大丈夫」と言い、後から症状が出てきたら「原発事故には関係ありません」と言うなんてことは許されない。
政府にも東電にも「逃げるのをやめろ」と言いたい。
あれは核爆発。そのことをちゃんと認めて、必要な補償も治療もすべてやれと言いたい。