セシウム汚染の帯、首都圏に 千葉・埼玉の汚染地図公表
東日本大震災:幼稚園除染費、保護者負担に賛否--柏の一部私立 /千葉
毎日新聞 2011年9月17日 地方版
◇経営圧迫と園側悲鳴
東京電力福島第1原発事故で放射線量が比較的高い柏市で、一部の私立幼稚園が除染費用の部分負担を保護者に求めた。保護者から「東電に請求すべきだ」との声が出る一方、幼稚園は「東電が払うか分からない中、園児の安全を優先した。予想外の臨時出費で、経営を圧迫している」と悲鳴を上げる。
柏市私立幼稚園協会の溜川良次(ためかわよしつぐ)会長によると、夏休み前に協会役員から「2学期はきれいな環境で保育したい」と意見が出た。徹底した除染には数百万円単位の費用がかかるため、臨時役員会で協力金として「園児1人につき1万円」の負担を求め、強制しない方針を確認。各園から保護者に出す手紙のひな型を協会が作成し、保護者に「協力金に同意する」「同意しない」の意思表示を求めることにした。
毎日新聞が協会加盟の全33園に取材すると、27園は「負担を求めない」と回答。4園は「ノーコメント」「答えられる者がいない」、1園は「検討中」だった。溜川会長は自ら経営する園について「3000円程度お願いしたい」と話した。
「ノーコメント」のうち1園は、9月に依頼の手紙を出していた。保護者らは「きょうだい2人が通う家は2万円の負担。でも自分だけ拒否できない」「園も私たちも被害者なのに納得できない。東電が払うのが当然」と不満を漏らす。
柏市の除染費用補助は1園当たり上限20万円。残り全額を自己負担する27園は「保護者と一緒に除染した。費用まで請求できない」「カンパの申し出も、すべて断った。矛先を保護者に求めるべきではない」と話す。「東電相手に裁判を起こす費用もなく、泣き寝入り状態。余裕のない園が保護者に協力を求めたことは理解できる」と同情的な意見も多かった。
東電千葉補償相談センターは「国の原子力損害賠償紛争審査会の中間指針では補償対象外。審査会の今後の議論を踏まえて対応したい」としている。【早川健人】
本来なら政府や東電が払うべき除染費用を、指定区域外だからといって幼稚園の保護者や地域の住民が払わなければならないなんて、ひどい話。それでいて、福島第一原発事故の最高責任者である政府や東電幹部社員は高給与でのうのうと暮らしている。