今日の茨城新聞の社会面トップニュースに
「セシウムボール」が広域に飛散したことが取り上げられました。
以前からネットでは取りざたされていた問題ですが、東海第2原発が再稼動を目論まれている茨城で、地元新聞が書いたことに、意義があります。
2018年1月14日 日曜日 茨城新聞
関東に放射性粒子飛来
内部被ばくの影響調査肢
・福島第1事故当時に放出
東京電力福島第1原発事故で大気中に放出された放射性物質の一部から、放射性セシウムがガラスと混ざり合った微小な球状の粒子が見つかった。
「セシウムボール」と呼ぱれ、水に溶けず環境中に長期間残存するのが特徴で、事故当時、東京など関東地方に飛来したことが確認された。
日本保健物理学会がこの粒子を吸い込んだ場合の内部被ばくの影響を調べている。
280キロ
東京理科大などの研究チームは2017年5月、千葉市で開かれた日本地球惑星科学連合の大会で関東に飛来したセシウムボールについて報告した。
チームは、各県に設置されていた大気粉じんの測定機器に注目。
放射性物質を含む雲が関東地方を通過した11年3月15日のフィルターからセシウムボールを検出した。
第1原発から280キロ離れた場所で見つかった粒子は、直径約1マイクロメートル。
スギ花粉の10分の1以下ほどの粒子に、0・3ベクレルのセシウムが含まれていた。
第1原発2、3号機のセシウムと特徴が似ているため、2号機か3号機に由来するとみられるが、形成過程は詳しく分かっていない。
2号機は同14日午後に炉心損傷が始まり、メルトダウンしたI~3号機の中で最も多い放射性物質を放出した。
微小なセシウムボールは風に乗り、同15日午前から午後にかけて関東を通過したとみられる。
▼断熱材
第1原発近くの福島県双葉町の土壌からはガラスが混ざったいひつな形の放射性粒子が見つかった
直径は関東地方で見つかったセンウムホールの200倍程度で平均200マイクロメートル。
数百ベクレルの放射性物質を含み、特徴から1号機由来とみられる。
専門家は「Bタイプ」と呼び分けた。
分析した日本原子力研究開発機構の佐藤志彦さん(放射化学)は「原発のさまざまな場所で使われている断熱材の
成分と粒子の主成分がうり二つだ」と話す。
1号機は同11日午後に炉心損傷が始まった。
ガス状のセシウムが断熱材に吸着された後に熱によって溶け、同12日午後の水素爆発で北北西方向に飛散したとみられる。
東北大の福本学名誉教授 (放射線病理学)は「原子炉建屋などの解体作業中に高濃度のセシウムボールが飛散する可能性が高く、廃炉作業で
は防護対策が必要だ」と警鐘を鳴らす。
▼細胞死
健康影響について、日本保健物理学会に調査を依頼した東京大の森口祐一教授(環境システム学)は「外部被ぱくでは特別視する必要はないが、水に溶けないので内部被ぱくの想定が従来とは異なる」と指摘する。
東北大はセシウムボールが人の細胞に与える影響を調べた。
培養している細胞のそばにBタイプの粒子を置くと、細胞の増殖が放射線の影響で遅くなった。
東北大の鈴木正敏助教(放射線生物学)は「至近距離だと細胞死が起こる可能性がある。
生存することができる細胞でも遅れて突然変異などが起こるか調べる必要がある」と話した。
初発見はつくぱ 後に広域で報告
風に乗り拡散か
放射性物質のセシウムを含む微粒子「セシウムボール」は、東京電力福島第1原発から約170キロ離れた
つくぱ所内で初めて見つかった。
その後、同市て見つかったものよりもやや小さいセシウムボールが関東地方の広域で相次いで報告された。
小さい粒子は風に乗って遠くに飛散した可能性かおる。
セシウムを体内に取り込んだ場合、代謝によって少しずつ体外に排出されるが、セシウムボールは水に溶けないため、1部が肺などに長期間とどまる懸念があるという。
関連情報 NHK 2017年6月6日(火) 原発事故から6年 未知の放射性粒子に迫る
ウランも検出→
「3.11」後、都内に飛来した放射性セシウムを含む微粒子、3月15日未明に2・3号機から放出された可能性が高い :日経 http://www.nikkei.com/article/DGXLZO16870290V20C17A5CR8000/ …
放射性セシウム含む微粒子 「3.11」後、都内にも飛来
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO16870290V20C17A5CR8000/
東京電力福島第1原子力発電所の事故後、放射性セシウムを含む微粒子が関東地方の広い範囲に飛んできたことが、東京理科大や東京大などの研究チームの調査でわかった。事故の進展過程を知る手がかりになるほか、放射性物質の環境や健康への影響を調べる材料となる。千葉市で開催された日本地球惑星科学連合大会で25日発表した。