玉露というと、「高級なお茶」「富貴な人の飲み物」、もしくは読み方すらワカラナイという方もいらっしゃるのかなと思いますが、これは「ぎょくろ」と読みます。
玉露は、字の如く「玉の露」、一滴でも非常に濃厚な味わいがあるお茶です。(淹れ方がありますが)
お湯に浸す茶葉は普通の煎茶と見分けがつきにくいと思いますが、茶葉の緑色は濃い目です。
茶業者が、お茶を比較する時は、熱湯で抽出しますが、これはおいしい淹れ方というより、お茶の持ってるポテンシャル(可能性、味や香り)を全部引き出すために行いますが、
一般的なお茶(煎茶や番茶、ほうじ茶など)に比べ、玉露は非常に味の密度というか、凝縮度、エキス感が強いです。それが、苦みや渋みではなく、うま味としてです。
玉露は、日本茶・緑茶の仲間ですが、その栽培方法が少し異なり、新芽が出てから太陽光を遮って作ります。こうすることにより、渋みなどが作られず、うま味のみを茶葉中に凝縮させることが出来ます。(ざっくりとした説明ですが・・・)
で、冒頭の「高価なお茶」という点では、大変手間がかかるので、日本茶としては高価な部類です。だいたい2000円以上~/100gが下のラインで、上は茶師の作品にもよりますが、
4~5000円近辺で上質な格の玉露(茶品評会クラス)になるのが相場かと思います(当社調べ)
感覚的に安いか高いかはお客様次第ですが、緑茶というカテゴリーの最高峰がこの価格なら、世界的(海外のお客様)には、割安感はあるようです。
と、前置きが長くなりましたが、ここのところで、当店のホームページ内の玉露の写真を変更するために、上から下まで玉露を久しぶりに全部一気に「拝見(はいけん)」(お茶を見ること)しました。
宇治玉露4種、八女玉露4種、静岡1種類。まあ、当店ながら、仕入れ茶師はよくこんなに集めたな~という気がします。お茶を仕入れる方も趣味の世界というか、惚れたお茶を仕入れて、ご紹介したいという思いが強いからだと思いますが・・・
宇治(京都)と八女(やめ・福岡)は、煎茶でも有名ですが、玉露の2大産地です。プラス、静岡の岡部町という場所も「玉露の里」として追随しています。
茶葉の形状、はとてもきれいで揃っていますね。
これが6000円クラスの茶葉(宇治)
形がゴツゴツと力があり、重量感があります。
香りも強く、袋を開けた瞬間に「ぶわ~」と薫ってきます。
色も鮮やかです。
こちらが3000円クラス(宇治)
上記より半分の価格(といっても3000円)ですが、
少し葉が扁平で重量感も軽くなっています。
摘む時期が後期(芽が出てから)になるとこのようなお茶になりやすいです。
こちらは4000円クラス(八女)
茶葉は少し細かめです(もともとの茶葉が小さいので)
上記三つの大きな違いは「品種」が違います。
よくご存じの「やぶきた」は実は品種名です。しかし、煎茶のほとんどが「やぶきた」なので、日本茶=やぶきた的なイメージかと思います。
この、やぶきたも特徴があり、「味、香りともにバランスが取れ、さわやかな渋み」もあります。
でも、「玉露って渋み、いらなくない?」と考える生産家さんは、違う品種を植えるわけです。
(個人の印象ですが)京都の玉露は、重厚感がありまさに王道、絶品で芳醇な香りと透明度の高いお茶なのにずっしりと濃厚な味わいがあります。
一方、八女の玉露は、どこまでも濃密で濃厚な味わいで、「うまみ半端ない」という感じです。
ですので、「香り高い王道の宇治が、濃厚なうま味の八女か」などと、お客様にはお伝えしたりします。
玉露向き品種で栽培され、また土地にあったものが生産家さんのポリシーの違いで植えられますが、
香り強化系「ごこう」や甘み強化系「さえみどり」などの品種が多く栽培されています。
と、細かく言い始めれば、摘んだ時期も茶畑の管理も違いますが、きりがないですので、ようは「うまけりゃいい!」わけです。
煎茶もそうですが、玉露もまた「沼にはまる」とおもしろい世界がありますので、
機会がありましたら、玉露を体験されるとおもしろいかと思います。
最後に、高価なので「高貴な人の飲み物」と思われると冒頭でも書かせて頂きましたが、
まあ、我々でも普段は毎回飲みたくはならないですね。クセ(味・成分)が強すぎます。
ですから、「富貴な人の飲み物」というより、たまには味わいたい高級のお茶といった感じでしょうか?
ちなみに、値段の高い玉露の茶葉は、茶葉が非常に柔らかいので、しょうゆなどで食べられます。(栄養もかなりあり!)
飲めて食べれて、どっちかといえばお得なお茶かも知れません。
ご興味を持って頂けたならば幸いです。
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