上野は『日本の芸術の中心地』や『芸術の森』などと呼ばれることが多く、実際に、日本を代表する博物館、美術館、音楽ホールがあり、芸術の最高学府も要する地域です。
世界を見渡しますと「芸術の都」と言えば、フランス・パリの代名詞ですが、ここに多くの芸術家たちが集ったように、上野近辺にも多くの芸術家のアトリエがあります。
そんな中のお一人に「木内克(きのうち よし)」という彫刻家がいます。
木内克は、1892年茨城県水戸市出身
もともと医者さんの家系でしたが絵が好きで、上京して彫刻を学び、朝倉文夫の彫塑塾に入門し数々入選を果たしています。
そして、29歳の時にフランス・パリにて彫刻の腕を極めていきます。
滞在中にテラコッタに魅了され、その魅力を日本に伝えた第一人者でもあります。
「なんでも鑑定団」で【猫】の作品が出ていたこともありましたが、3月放送の同番組ではブロンズ像に高額がつけられてことでも
(鑑定団より転載)
ご記憶の方も多いかと思います。
実はこの方のアトリエは上野にありました。上野と言って、上野の山の奥の院「寛永寺」周辺の上野桜木地区です。
ご存知方も多い「平櫛田中(ひらくしでんちゅう)」のアトリエすぐそばです。
実は、この「木内克」のアトリエ、この7月に老朽化に伴いひっそりと解体されることになりました。
今までも、後継の方がお住まいでしたので一般に公開されることもなく、宣伝されることもない知る人ぞ知る建物でした。
内部は、芸術家のアトリエらしく、意匠にあふれ、窯も併設されており、ここでテラコッタ作品が生み出されたそうです。
ここではまた、建築家の前川國男や丹下健三、黒川紀章らも集まって色々な芸術。建築談議にも花を咲かせていたという、まさにサロンのような家との話を聞きました。
「エーゲ海に捧ぐ」
残念ではありますが、最後に建物お写真を家主様にご許可を頂き撮影させて頂きました。
作品制作の為の回転板
知らないだけで、きっとこういう邸宅が多いのも、また見つける楽しみの
上野の魅力なのかも知れませんね。