じいたんばあたん観察記

祖父母の介護を引き受けて気がつけば四年近くになる、30代女性の随筆。
「病も老いも介護も、幸福と両立する」

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寝言で会話する二人。

2005-05-31 23:55:02 | じいたんばあたん
じいたんとばあたんは時々、
寝言で、会話する。

ある夜のこと。

「あ~お前さん、困ったね。」

むむ?と思って飛び起き、和室を覗いたら、
じいたんの寝言だった。

なんや。びっくりした。
と引き返そうとした、そのとき、

「どうなさったの、あなた」

ばあたんの大声。目は閉じている。
どうやら寝言らしい。
じいたんの寝言に反応するのね…
と思っていたら、

「ああ、君は心配しないでいなさい、むにゃむにゃ…」

と、じいたんのでかい声。
そして直後にがごーっと、いびき。

なんか話が通じてるのか通じてないのか、
でも祖母は安心しきった表情で眠っている。

そっと二人の布団を掛けなおしても、
二人とも、全然目を覚ます気配はない。

60ウン年連れ添ってきた夫婦の絆って、
ほんとうにすごい。

そう、改めて思った出来事だった。
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どんな飲み物でもいい。ただ、

2005-05-30 22:19:59 | 介護の土台
人さまが、淹れてくださった飲み物。
いただくと、ほっとします。
普段は自分が淹れるばかりなので…


ばあたんもじいたんも、もう飲み物を注ぐ動作は難しい。
出来ないわけじゃないんだけれど、
温かい飲み物は特に、危険を伴うので心配なのだ。

じいたんは、片目が見えにくくて、遠近感がない。
ばあたんは、危険を察知するのが難しくなってきている。

それに何より、
二人とももう長いこと
自分でお茶を淹れてきたのだから、
せめて残りの人生は、
孫に淹れてもらう温かい飲み物を楽しんで欲しい。

だから、介護の合間に
行きつけ(というほどは行けないけど)の
喫茶店で、コーヒーや紅茶をいただくと、
なんともいえない幸せな気持ちになる。

人に淹れてもらう飲み物って、本当に心があたたまります。
あたしにとっては、ほっと一息いれられる、そんな飲み物です。



追伸:
はれうさん

ホットココア、おいしかった。とても。
ありがとう。
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ちいさな肩と、淡く優しい笑顔。

2005-05-30 04:20:25 | じいたんばあたん
伯父が帰るとき、散歩とうそぶいて
ばあたんと二人、駅まで彼を送った。

蓮の花が咲く、あかるい池のほとりを
ばあたんと伯父二人きりで、
歩かせてあげたいと思いついたから。

家族連れがくつろぐ、日曜日の公園。
ごく普通のはずの、休日の昼下がり。



「ねえ、伯父さん、
 ばあたんと、手をつないであげて」

とても短いセンテンス。
なのに、
伯父の気持ちを思うと、
喉が詰まって、声に出せない。

駅はもうすぐ。
ああ、タイムアウトだ。

「伯父さん、ばあたんとお別れして!
 あたし切符買ってくるわ」

二人を置き去りにして、
券売機まで走った。

230円の、片道切符一枚。
私が買えた時間は、本当にわずか。
ばあたんと伯父、
二人のためには、短すぎた。


淡々とした表情で、改札の向こう側へと
てくてく歩いてゆく、伯父。

ばあたん、分かっているのかな。
息子が帰ってゆくんだよ。
ばあたんの小さい肩を
思わず後ろから抱きしめた。

その時。


階段を登る伯父が、振り返った。
ほんの少し、心配そうな顔。

見えたことを知らせたくて、
ばあたんの代わりに
「伯父さん!」と叫んだ。

もう一度振り返った。
淡いけれど、ほんものの、笑顔だった。




伯父の姿が消えたあと
ばあたんが、ぽつりとつぶやいた。


「おーちゃん、ありがとう、来てくれて」
コメント

世界がわたしを断罪しても

2005-05-30 00:54:21 | ブラックたまの毒吐き
※注意※これはブラックたまの毒吐きにカテゴライズされる文章です。

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白状します。
いまさらですが。

私は、決して褒められた人格の持ち主ではない。
むしろ底辺といったほうがいい(笑)

なぜなら、下に書いた「介護の定義」を承知した上で、
自ら望んで、この「世界」に「家族」として
飛び込んだからだ。

それまでに抱いていた大事なものを、
一旦、容赦なく切り捨てて。

********************

介護とは(少なくとも、介護する側にとって)

常に
「お前が死ぬか、私が死ぬか」という
究極の選択を強いられる
そんな中で、
何とか、お互いが生き延びることのできる道を
毎日、その瞬間瞬間で見つけてゆく
そういう作業である。

100%、チキンレース。

死という名の、
いつ訪れるかも分からぬ
だが確実に訪れる
終焉に向かって

あらゆるものとデッドヒートを繰りひろげる。
賭けるのは、自分のたましい。

********************

家族としてのつながりがある、ただそれだけで、
ぎりぎり生きるか死ぬかの、負け戦に向かう。

「肉親(あるいは姻戚)」であるからこそ
底が見えない、泥仕合になりかねない。

そんな怖ろしい作業に向かい合っていることを、
どこかで楽しんでいる自分がいる。
そんな自分を、心から怖ろしく思う。

病んでいるのか、狂っているのか。
ふと我に返る時がある。
自分のこころのありかたについて、
ひどく赦しがたい疑いをもつ。

  だから、
  無責任な「大人コドモ親族」を
  非難するような立場には、もともとないのだ。

  そして、
  「私を介護者にする」という前提しか
  今、選べない被介護者に
  どれだけ理不尽な仕打ちを受けようと、
  そんなものは、耐えてみせて当たり前なのだ。

  なぜなら、
  どう考えても
  すでに
  スタート地点で
  私のほうが優位に立ってしまっているからだ。


…介護者であるということは、
時に、ヤクザ以下と言ったらヤクザに失礼な、
そんな存在にもなり得る。
もう、すでに私はそういうモノになってしまっているかもしれない。


だからこそ、今、堂々と書き残しておく。
未来の自分のために。


世界がわたしを断罪しても

わたしだけは、わたしの事を、赦そう。
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ばあたんと夕食づくり。

2005-05-29 06:06:28 | じいたんばあたん
昨夜、伯父が来訪してくれた。

前夜、前もって、ばあたんに
「おーちゃん来るよ」って話した。

ばあたんの顔が、ぱぁっと明るくなった。
「おーちゃん久しぶりよね。遠くから来てくれるのよね。
 何か美味しいもの…」

と言いかけて
そして、私を見つめて、
とても悲しそうにぽつりと言った。

「きっと、おばあちゃんは、
 明日、おーちゃんが来てくれても、
 お顔が分からないのね。
 この嬉しい気持ちを、伝えることも、できないのね…」

…ばあたんは、心の奥底の部分で、
自分の病気について理解している。
かなしみを、甘んじて受け、耐えてくれているのだ。

なら、あたしが用意してみよう。
ばあたんの代わりに。
多少私の手が入ったって、
ばあたんの気持ちがいっぱい入っている料理。
それでいいよね。
ばあたんのお財布は、私が預かっている。
ばあたんの気持ちを、少しでも形にしてあげたい。

そう思い立って、スーパーに行った。
でも、メニューが思い浮かばない。

大学時代、ばあたんのところへ訪ねるたび
早起きして、朝食を手作りしてくれた、ばあたん。
すごく時間をかけて、ていねいに、
食べ物に愛情をこめるように、彼女は台所に立っていた。

もし、ばあたんが元気で、
息子が遠いところから訪ねてくることを知ったら
ばあたんは、どんな夕食を用意しただろう。

ばあたんの手、そのものが調味料だった、昔の手料理。
だから、今回も、
ばあたんに手伝ってもらえるようにしよう。

かぶとベーコンのスープ煮と
きんぴら
お刺身
サラダ

下の二つは出来合いのもの(笑)
キッチンが小さすぎて、あまり色々は作れない。
でも、かぶなら、手伝ってもらえる。

「ばあたん。おーちゃんの晩御飯つくるから、
 手伝って欲しいんだ~」
 
ばあたんの顔が、ぱあっと生き生きした表情になった。

かぶの根っこをきれいに洗った。
にんじんの皮をピーラーで剥いた。
しいたけの石づきを取った。
かぶの葉っぱを、一本一本丁寧に洗った。
とても、ていねいに、
いたわるように食材に触れる、ばあたん。

何て楽しいんだろう。
おばあちゃん、すっかりお母さんの顔。
材料を鍋に放り込んで、コトコト煮込んだ。
でも、味付けが濃すぎた予感が…
どうしよう。

伯父に夕食を出せたのは、7時廻ったころだった。
「さあ、どうぞ」
なんだか照れているような、節目がちの、優しい表情が
伯父の顔をかすめた。

味付けに失敗したと思っていたスープ。
それでも伯父は、とてもとても、うれしそうだった。
亡くなった父の、笑顔の面影がだぶる。

「うまいよ、これ。
 おばあちゃんも良く、かぶを漬物にしてくれてたんだ」

そう?とにっこり笑ってみせたけど
私は内心、泣きそうな気持ちでいっぱいだった。

伯父さん、食べてくれてありがとう。

「おーちゃんに、ごはん、つくるの」
って呟きながら
一生懸命に食材の手入れをしていた
ばあたんの気持ち、
身体に、たっぷりしみこませて
受け取っていてくれたこと、
たまは、ほんとうにうれしかったよ。

それから、父にしてあげられなかったことと、
少しは姪らしいこと、
させてくれて、ありがとう。
いつまでも、健康でいてね。

追伸:
伯父さん、次、きてくれたときには、
ばあたんの得意料理だった、
茄子味噌(茄子のなべしぎ焼き)作るね。
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ばあたん&たま、下ネタで爆笑。

2005-05-28 00:45:42 | じいたんばあたん
夜、寝る前に
ばあたんと「むすんでひらいて」をして遊んだ。
ばあたんは、なかなか動作について来れないのだが、
それが逆に面白いらしく、
何度やっても、飽きる様子がない。

  結んで 開いて
  手を打って むすんで
  また開いて 手を打って
  その手を 胸に

ばあたんは、ここを「その手を上に」が正解じゃないの?
という。そうかもしれない。

(ばあたんの記憶は正しいことが多いのだ。
 ただ、胸に手をあてて、そっと、
 何かを抱きしめるような動作が出来るから、
 無意識に私が「胸に」だと勘違いして覚えたのかも)

上のようなことをつらつらと思っていたら、

ばあたん、突然

また開いて

のところで

「"股ひらいて"…?」

と、動作込みで、ふざけて(…いや本気か?)のたまったのだった。
            
二人で大爆笑。
「ばあたんって、結構、
 大声でいえないネタが好きだねぇ」(笑)

と私がからかうと、

ばあたん
「うふふ。
 たまちゃんに合わせてあげているのよ

がびーん。

本当にアルツハイマーなんだろうか、この人。
あたしだまされてるんかしら。
唖然とする私をよそに、

「おもしろいばばちゃんでしょ」
「ばんざーい!たまちゃんもばばちゃんも、
 ばんざーい!」
ばあたんは、はしゃいでいる。
二人で一緒に笑いたいよって、いっぱい、笑ってくれる。

ばあたん、ありがとね。
今日も、ばあたんに感謝することがいっぱいやわ。

追伸:
ほかにも、「お相撲さんのまわし」とか
気になるネタは多数あります。わたしたち(笑)
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言いたいことは明日言え。

2005-05-27 23:55:56 | じいたんばあたん
昨夜、遠くで暮らす伯父から電話があった。

「たま、土曜そちらに行けそうだ。
 100%確実というわけではないんだが…」

すごくうれしい。
待ってるねって返事をした。
私の体調がいまひとつなので、それも視野に入れて
激務の中こちらへ来てくれる時間を作ってくれたことを
承知していたから。

今日、午後、じいたんに報告した。
きっと喜んでくれると思って、
食事の支度のことなど相談するつもりで。

でもじいたんの反応は違った。
憮然とした表情で、

「おーちゃん(=伯父。仮名)が、何をしにくるんだ」

・・・?何をって、
じいたんばあたんの顔を見にくるんだよ。

「何でおじいさんに先に連絡してこないんだ。」

・・・それは、全くそのとおりだけれども。
私に連絡すれば伝えてくれると思ったのでは?

「おじいさんに予定があったらどうするつもりなんだ?」

・・・その辺は、私が把握しているから
大丈夫だって判断したんじゃないかな。
第一、息子なんだし。
それに、私が最近体調を崩しがちだから、
その辺りも心配してくれてのことじゃないかな。

「お前さんの体調が悪いとわかっているなら
 尚更じゃないかね?
 それに、
 おじいさんは、おーちゃん(=伯父。仮名)の家に訪ねていくときは
 きちんと計画を立てて、事前に連絡をするよ」

確かに、筋は通った話だ。
だが。私は黙っていられなかった。

・・・あのね、じいたん。
じいたんの仰りたいことは、たま、よく分かるよ。
でもね、
伯父さんは、毎日朝早くから夜中まで仕事漬けなんだよ。
私に連絡とるのが精一杯なんだよ。
おじいちゃんが働いていた時代とは違うんだよ。
そんな中で、時間作ってこっちに訪ねて来てくれるんだよ。
そこは分かってあげてほしいよ、たまは。

「おじいさんの予定はどうなるんだ」

ちょっと内心切れた私は

・・・本当に用事が詰まっているなら、断りましょうか?

「ああ、断ってくれ。それでもいいさ。」

悲しくなった。
なんで。なんでやのん、じいたん。

口ばかりお上手言って、出すもの出させるわりには、
私がいることをこれ幸いと、自分の役割を平気で放棄して、
安穏と暮らしている奴らの肩は
平気でもつくせに、

電話が入れられないほど忙しい伯父さんの、
(私にだって、会議の隙間にかけてくれるのだ)
ちょっとした手順違いで、なんでそんなに気分悪くするの。

精一杯、出来る限りの事を、いつも、やってくれてる
伯父さんの気持ちくらい、普通に理解でけへんの。
ホンマに、あたしの父の親なん?

こころが言い知れぬもので一杯になって、
言葉が喉まで出掛かった、
そのとき。

「たまちゃん、もう、お口を開いてはだめよ。
 おばあちゃん、けんかになったら、つらいわ」
ばあたんの目に、うっすらと涙。

そして、そっと私の手をひいて、お手洗いに連れて行き
ばあたんは言った。
「おじいちゃんは、おーちゃんが来たら、
 絶対追い返したりなんかしないから、
 (中略)…たまちゃん、ごめんね。
 悲しい思いをさせて…」

ばあたんは謝らんでええのに。
何も言わないで我慢しようと思った。

…夜になって、運よく
伯父から、じいたん宛に電話があった。

うきうきした声で電話に出ているじいたん。
「来なくていい」とか、いつものあまのじゃくを垂れている。
そして、
電話を切った後、私と目があうと、
ばつが悪そうに、新聞をかぶっていた(笑)

すこ~し、ざまあみろと思ったけれど(笑。鬼孫たま。)
我慢して正解だったなあと思った。
ばあたんの言うとおりだ。

ばあたんが、さっきお手洗いで、私にささやいた言葉。

"言いたいことは、あした言え"
 っていうことわざがあるでしょ。たまちゃん。
 賢くおやりなさいね。お願いよ。
 お口を開いてしまえば、後であなたが傷つく場合もあるのだもの」
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じいたん、洗濯する。

2005-05-26 19:22:19 | じいたんばあたん
昨日、突然、発熱した。
薬を飲んでしっかり寝れば下がるか、と高をくくっていたら、
今朝方、38℃超えた。激しい頭痛と動悸、体中の痛み。

今日は木曜。かかりつけ医は休み。

解熱剤をボルタレン坐薬に切り替えて
熱と頭痛が治まるのをひたすら待つ。


午後になって、祖父宅宅に電話を入れたら、
誰も出ない。
二人で散歩にでも出かけたのだろうか。
間隔をあけて何度か掛けたが、やはり誰も出ない。
じいたんの携帯にもつながらない。

じいたんは、貧血がある。
付き添いのない散歩は、本当は、医者から止められている。
ましてや、ばあたんと二人での散歩は、
じいたんの身体には、かなりこたえるはずなのだ。

…ひょっとしたら、どこかで倒れているのではないか。
じいたんが倒れて、ばあたんがオロオロしている
そんな情景がふと、浮かんだ。

嫌な汗が、体じゅうから噴きだした。

何とかシャワーを浴びて身支度をする。
そしてもう一度、電話をかけた。

ばあたんが、電話に出た。
「たまちゃん?おばあちゃんよ。
 誰も来ないのよ。今日。誰もいないの」

どっと汗が噴き出す。

「…おじいちゃんは?」

その時じいたんが、電話に出た。
いつもより明るい、でもしゃがれた声。

「ああ、たま、お前さん大丈夫かね?」

…じいたん。じいたんこそ大丈夫なん?
ごめんねごめんね。あたしが判断まちがえてん。
熱が下がらんくて…

「そんなことだろうと思ってたさ。
 それより、お前さん、怒っちゃいけないよ。
 おじいさん、今日はがんばって、いい気分なんだよ。」

…?

「今日はな、洗濯機を回してみたんだ。
 お前さんのようには出来んがな。洗剤もつかったぞ。」

…え?本当に?じいたん

「お前さんがいつも頑張ってくれているんだから、
 おじいさんも応援しなくちゃって思っていたのさ」



「それにな、午後はおばあさんを散歩にお連れしたんだ。
 昔みたいにな、歩けるところまで、歩いて
 バスに乗って帰ってきたんだ。
 どうだ、すごいだろう」

…すごい。すごいよじいたん。
でも身体は、大丈夫なん?

「そりゃお前さん心配ないよ。」

「あと何回、こういうことができるかは、わしもわからん。
 おじいさんも、もう年だからな。
 いざとなったらお前さんがいてくれると思うから、
 色々やってみようと思えるのさ。」

…じいたん…

「おじいさんも、お前さんの言うことを良く聞くようにするから、
 お前さんも、おじいさんの言うことを聞いておくれ。
 今日はゆっくり休んで、
 明日は朝一番で、タクシー使って
 ○○先生の所へ行きなさい」

じいたん。じいたん。じいたん。

…あれほどひどかった動悸と頭痛が、すうっと引いた。

山盛りの愛情を注いでくれる、二人がいる。
私を信頼して、待っていてくれる、二人がいる。

熱なんか、吹き飛ばしてやる。
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『熟年恋愛講座』小林照幸

2005-05-25 23:56:40 | 本棚
著者は30代前半のノンフィクション作家。

タイトルは、まるでハウツー本みたいなのだが
中身は、とても真面目に「老人の愛と性」について扱った、
一種学術的な本です。

『40歳未満、お断り!』
一種刺激的な帯につられて入手したのですが…
本の中で一番、私の心に響いた言葉は、これ。


「クオリティ・オブ・ライフ」は「クオリティ・オブ・ラブ」

本当に、そのとおりだと思う。
本の中ではセックス込みの意味で使われていたけれど、
(それはこの本の性質上当然なのだが)
それだけじゃなくてね。

愛情をかける対象があること、愛情を注いでもらうこと
その両方が
老年期に入った人たち(あるいは死期の迫った人たち)
には特に必要だと、私は思っています。

老年期に入っても、
魂は尊厳ある一人の人間。
そして、男であり、女。
そのことを
ちょっと違った角度から考えさせてくれる一冊です。

また、介護保険制度とは何ぞや?とか
介護保険運用における現在の問題点などについても
触れてあり、
いろんな意味でお薦めの一冊です。

いやホンマ面白いんで。すぐ読めます。
若い方は、読みたい章から読むのがコツかも。

熟年恋愛講座―高齢社会の性を考える

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『介護入門』モブ・ノリオ

2005-05-24 01:14:35 | 本棚
実は、この本が出版され話題になった当初、
わたしは「これだけは簡単に手を出すまい」と思っていた。

だってうさんくさいんだもん。タイトルが。
文学界新人賞をとったという事実が。
そして、売れているという現象が。

だが。
本屋で、買う予定だった本の横に
たまたま平積みにされていたその本を、
手に取ると、初めにあるのは
著者とその祖母君の写真。
安らかな二人の、表情。

『これは、ホンモノだ』
手にとってレジへ直行。一気に読破。

あとは、読んでみてください。

一見読みづらい文体ですが、
「何故その文体でなければ書けないのか」
といったことを考えながら読み進めていけば、
多少は読みやすくなると思います。

追伸:「文学界」編集部さんへ。
   久々に、グッジョブ!でございましたですよ。

介護入門

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