じいたんばあたん観察記

祖父母の介護を引き受けて気がつけば四年近くになる、30代女性の随筆。
「病も老いも介護も、幸福と両立する」

『熟年恋愛講座』小林照幸

2005-05-25 23:56:40 | 本棚
著者は30代前半のノンフィクション作家。

タイトルは、まるでハウツー本みたいなのだが
中身は、とても真面目に「老人の愛と性」について扱った、
一種学術的な本です。

『40歳未満、お断り!』
一種刺激的な帯につられて入手したのですが…
本の中で一番、私の心に響いた言葉は、これ。


「クオリティ・オブ・ライフ」は「クオリティ・オブ・ラブ」

本当に、そのとおりだと思う。
本の中ではセックス込みの意味で使われていたけれど、
(それはこの本の性質上当然なのだが)
それだけじゃなくてね。

愛情をかける対象があること、愛情を注いでもらうこと
その両方が
老年期に入った人たち(あるいは死期の迫った人たち)
には特に必要だと、私は思っています。

老年期に入っても、
魂は尊厳ある一人の人間。
そして、男であり、女。
そのことを
ちょっと違った角度から考えさせてくれる一冊です。

また、介護保険制度とは何ぞや?とか
介護保険運用における現在の問題点などについても
触れてあり、
いろんな意味でお薦めの一冊です。

いやホンマ面白いんで。すぐ読めます。
若い方は、読みたい章から読むのがコツかも。

熟年恋愛講座―高齢社会の性を考える

文芸春秋

このアイテムの詳細を見る

最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして (yukirin)
2005-05-28 17:48:35
たまさん、こんにちは。

TBとコメント、ありがとうございました。

私たち二人も、いま介護に関係のある仕事をしています。

本棚に2冊も同じ本が置いてあって、うれしく思います。

今度はモブ・ノリオ「介護入門」を手にしてみることにします。
返信する
yukirinさんへ (介護人たま)
2005-05-29 02:00:47
ようこそお越しくださいました。

本棚に二冊も同じ本があるのが、私も嬉しくて、ついつい二冊ともにTBつけちゃいました。



yukirinさんもkaorinさんも介護関連のお仕事に就かれているとのこと、

遠いつながりだけど、お世話になっています



介護者にとって、良い介護スタッフと巡り合うということは、

自分と被介護者の、生命線そのものなんです。

お世話になります。よろしく、よろしくお願いいたします



あの、是非『熟年恋愛講座』にもTBいただければと思います。

自分の認識違いで(介護保険制度についての部分)正確ではない記事を書いてしまったということもありますが、

何より、読んで欲しいんです。この本、たくさんのひとに…
返信する
yukirinさんへ、追伸です (介護人たま)
2005-05-29 02:02:57
『介護入門』是非、是非お手にとってみてくださいませ。

決して後悔はなさらない作品だと思います。
返信する
たまさんへ (yukirin)
2005-05-31 12:29:32
え~、私も是非『熟年恋愛講座』にもTBさせていただければと思い何度か試みたのですが...おかしいなぁ。ホリエモンさんのほうはうまくできたのに。(^^; でも、同じところに3つも4つもTBがついてなくてヨカッタ。



著者の小林さんは、ちょうど『朱鷺の遺言』で大宅荘一賞を受賞したとき、大学に編入学されていて、私のひとつ上の学年でした。編入学当初、試験対策や履修方法など、いろいろな面でアドバイスをいただきました。受賞してからは、多忙となり、あまりキャンパスで見掛けることはなくなりましたが、そのころから福祉関係のゼミに籍を置いていたと記憶しています。



私も仕事柄、老人ホームによく訪問したものですが、「クオリティ・オブ・ライフ」は「クオリティ・オブ・ラブ」

なんて考えかたがあるなんて...目からウロコでした。
返信する
yukirinさんへ (介護人たま)
2005-06-01 10:31:53
ああ、またお運びくださったんですね。

うれしいです。ありがとうございます。



「テンダーラブ」っていう概念が

アメリカの終末期医療では用いられているのですが、



『熟年恋愛講座』に書かれていたあの言葉は、

その概念にも沿うものだと思います。



惜しみなく愛情を注ぐこと

そして

患者さんから頂く愛情を、きちんと受け取ること

それが

結果的に患者さんのQOLを高めるのだと、私は、体験的に確信しています。



また、yukirinさんのところにもコメント残しますね。

時々遊びに伺っているのですが

なかなか書き込めなくて…



では、また
返信する
Unknown (Unknown)
2005-06-05 08:30:30
 先日「破裂」という小説を読みました。医師免許を持った人の作品で老齢化問題を扱ったものです。

 福祉の問題をネガティブな視点-本にも出てくる表現ですが”ナチス”的な視点-で捉えようとする官僚の暗躍と医療裁判が絡み合うなかなか読み応えがある本でした。

 超高齢化社会をどうするのか個々の読者に見解を問うているような気がします。

 

 もちろんナチス的発想など論外ですが、ではどうすればいいのか。再び個人への負担に任せるのか。

 恥ずかしながら結論を出せない自分に気づきました。



 ブログのお話とは違う内容で申し訳ありません。

 コメントありがとうございました。
返信する
すいません (oyaji)
2005-06-05 08:32:12
上のコメントは"oyaji"です。
返信する
oyajiさま=院長さまへ (介護人たま)
2005-06-05 23:21:28
びっくりしました。

わざわざお運びいただけると思っていなくて。

ありがとうございます。

とても、とても嬉しゅうございます。



「破裂」久坂部 羊の作品でしょうか?

前から気になっていた本なのですが、院長さまのご推薦でしたら安心して読めます。早速私も読んでみたいと思います。



ご多忙を極める生活を送られているかと思いますが、よろしければ、お手すきのときにでも、またこちらを覗いて頂けたらうれしく存じます。

私は多分殆ど日参してしまうと思います…。

コメント、あまり付けすぎないようにがんばります。



今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
返信する