じいたんばあたん観察記

祖父母の介護を引き受けて気がつけば四年近くになる、30代女性の随筆。
「病も老いも介護も、幸福と両立する」

人生のテーマソング。

2005-09-02 01:47:02 | 音楽
最近、良く思うのだ。

人には、それぞれ、その人の人生を象徴するような
「テーマソング」があるのかもしれない、と。

本人は気づかないのだけど、周りの人が見ていて
「ああ、この人は、この歌にそっくりの人生を歩んでいる」
そう思うような、歌がひとつくらいは、ある。

その、良い例を。


**************************


「Mr.サマータイム」という歌が昔、あった。


ある家の台所でよく、若い女がその歌を歌っていた。

無邪気に歌う姿とは裏腹に、歌詞は哀しみに満ちている。
歌う姿には陶酔が、そして歌詞には毒が。


わたしはまだ、ほんの子供だった。


彼女が、かげりのない手さばきで、料理を作りながら
その歌を歌うさまを眺めながら、
不思議に思ったものだった。

なぜこの女はかくも無邪気にこの歌を歌うのか。
人生をなめているんじゃないかしら、って。



そして、数年後。
その歌は
そのまま彼女の、

『人生を映す、テーマソング』になった。


今思えば、あの台所…
なかなかドラマチックな場面に立ち会っていた気がする。




最近は機会がないけれど、
大勢でカラオケに行ったりしたときには、
この歌を、披露することがある。
(私よりも年長のかたには結構受けるのだ)


こういう悔いを残すことがあるのも、また人間だよね。
そう、思いながら。

でもあたしはこういう悔いは残さないで生きたい。
そう、思いながら。


私自身のテーマソングは、何だろう。


追伸:
ばあたんのテーマソングは、タイトル不明なのです。
何度かコメント欄に書いてきた、
『こころの花の匂いは 咲ける花に勝れり』
というフレーズが入った歌が、彼女らしいと思うのだけど。

『アストル・ピアソラ作品集』

2005-07-19 08:42:12 | 音楽
先に、ピアソラ本人のCDをご紹介したかったのですが、
素敵なCDを見つけたので。

このCDは、どちらかというと、
すでに「ピアソラ」をご存知で、彼の音楽が好きな人向けかもしれません。
二人の演奏者が、ピアノデュオで聴かせてくれる、ピアソラです。

とはいえ、曲はおなじみ(ピアソラの定番)のものばかりなので、
とりあえず聴いておいて損はないと思います。
それから、音楽に詳しいかたには、編曲のすばらしさも魅力の一つとなると思います。

二人の演奏者が競演しながら融合して、また離れ…
そう、まるでタンゴのように音楽で踊る二人の奏者…

時に秘められ、時に姿をあらわす「何か」の、微妙なさじ加減がすばらしい。

「ピアノでのピアソラ」を聞いてみたい方には是非お薦めの一枚です。

どうぞどうぞ、お聞きになってみてください。

私自身はといえば、感情が動かなくなってしまっているようなときに、
これを聞くと、自分のチューニングが出来るような、
そんな感じがします。

アストル・ピアソラ作品集
パブロ・シーグレル, シーグレル(パブロ), アックス(エマニュエル)
ソニーミュージックエンタテインメント

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Musical Batonをキャッチしました。

2005-06-28 23:31:24 | 音楽
今、巷で流行している、ミュージカル・バトン。
『デンドロ・カカリア』の、デンドロさんから受け取りました。

ふふふ。いい感じに、ブログの趣旨から外れてきています(何がだ)
せやけど、ホンマのとこ言うと

おもろかったら何でもOKなんやウチは!(ミもフタもない)

というわけで、遅くなりましたが、さて書いてみましょう。


◆Total volume of music files on my computer is: (今、パソコンに入っている音楽ファイルの容量)

ないしょでつ。とりあえず、PCに音楽あまり入れてないはず。
ちょこっと、ちょこっと習作が入っている程度です。


◆The last CD I bought was: (最近、買ったCD)

パブロ・カザルス バッハ無伴奏チェロ組曲(全曲)

Kenさんこの記事を読んで、すぐ入手。大当たりでした!

バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)
カザルス(パブロ), バッハ
東芝EMI

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関係ないけど、今狙っているのは、
同じくパブロ・カザルスの「ベートーウェン:チェロソナタ集(全曲)
です。


◆Song playing right now is: (今聴いている曲)

Sade: Love Deloux

Love Deluxe
Sade
Epic

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◆Five songs (tunes) I listen to a lot or mean a lot to me are: (よく聞く、または特別な思い入れのある5曲)

ジャンルごとに五つずつじゃないのか!みたいな。はは。
どうしようかなぁ。ちぇ。


・「1996」坂本龍一

世界の舞台で、「日本人であること」をウリにしないで勝負する、
この人が大好き。
挙げたアルバムは、映画のテーマソングになった曲をくまなく網羅しているという点で、
私にとってのベストアルバムです。

「戦場のメリークリスマス」のラストシーン。
明日死刑になる日本人(北野武が)が、かつて自分が捕虜として捕らえ
虐待していた主人公に、こう、笑いかける。

「メリークリスマス!Mr.ローレンス」

"ただ感じて、泣く"ということを、あの時知りました。

1996
坂本龍一
フォーライフミュージックエンタテインメント

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ちなみに、坂本龍一の公式サイトはここ


・Holly Cole:Calling you

収録曲のうち、Calling you は多分、
聴いたら「ああ、これか!」と皆様お思いになると思います。

コーリング・ユー
ホリー・コール・トリオ, ホリー・コール, デビッド・ピルチ, アローン・デイビス, ジョニー・フリゴ
東芝EMI

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大学時代の前半、ほぼ毎日、平日の夜は工場で働いていました。
真夜中、アップダウンの激しい人気のない道で、
自転車を必死にこぎながら、大声で歌っていました(笑)


・ベートーウェン:ソナタ悲愴(全楽章)

父の葬式が終わるまで、誰もをあざむいて散々、嘘泣きをした後、
ただ驚き続けているだけの脳みそで
ひとりの時間は毎日、これを弾いていました。
あのときの、あの何とも言いがたい気持ちを、真正面から受け止めてくれた
この曲に感謝しています。


・Lullaby of birdland

小4のとき、クラスメイトが、教室のオルガンで弾いていた曲。
名前ももう思い出せない、彼女が、とても楽しそうに弾く横顔をみて
「ああ、そうだ、あたしもこんな風にピアノを楽しみたい」
と初めて思った。

シングス・ララバイズ・オブ・バードランド(紙ジャケット仕様)
クリス・コナー, エリス・ラーキンス
東芝EMI

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それから20年近く経ち、
教えていた女の子が、高校受験まっただ中だった、あの夏。
息抜きという口実で連れて行ったジャズ・バー(おい!)で、
この曲の題名をやっと、知ることが出来ました。
彼女は今高3。心理学方面に進んで、臨床心理士を目指すとの報告が
先日、ありました。嬉しかった…。


・Eric Clapton:Change The World

映画のテーマソングだった。その映画の題名がいま、出てこないけど。
歌詞を読んで、何て切ないんだろうって。
「もし僕が世界を変えることができたなら」
答えは決まっているの。変えることなんて出来ない。
それでも歌うこの曲が好きです。

チェンジ・ザ・ワールド~エリック・クラプトン・ボックス1983-1994
エリック・クラプトン
ワーナーミュージック・ジャパン

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・Letters:宇多田ヒカル


「Deep Rever」はどれも歌詞いいなと思うけれど、
やっぱりLettersが一番好きかなぁ。この曲出すのはめっちゃ恥ずかしいんですが(何でだ)

Deep River
宇多田ヒカル
東芝EMI

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◆Five people to whom I'm passing the baton: (バトンを渡す5人)

ええ?これも5人しか渡せないの~…?
でも巷には、このコーナーを書かないブロガーさんも結構おいでみたいなので、
まあそれを補うということで(笑)ちょっとルールからはみだしてみました。

怖いもの知らず、かつ腹黒に、
以下のみなさま方に、バトンを差し出してみます。

お願いしてみるだけならタダや!!


はれうさん
あじゃさん
のんさん
oyajiさん
The社会福祉マン!さん
カジイさん


絞りに絞ってみてこれかい…(生ぬるい笑い)
ブログ運営の趣旨上、応じていただけそうにない方にもバトンを差し出してみました。
空気嫁、と突っ込まれそうでびくびくしております(汗)


…あの、「おねだり」してみているだけなんで。
無視でも、全然かまわないので。

でも、もしお時間が許すなら、
…ちょこっとだけでも、書いていただければ嬉しいです。


好きな音楽という側面から、あなたを知りたい、聴きたい。

◆追記(7/19):「かっこうのつれづれ」のミュージカル・バトンにTBしました。

バッハ「インベンション」と、ショパン「幻想即興曲」

2005-06-23 13:54:56 | 音楽
※設定ミスで「コメント受け付けない」になっておりました(ToT)
 修正しましたので、どうぞどしどしお願いいたします…(修正6/25 6:18)

たかがアニメのエンディングテーマである
wind (明星)

以前のエントリでご紹介した、この曲を演奏してみようと試みるとき、

何故か、全然似ていないはずの、「幻想即興曲(ショパン)」を思い出す。
(ピアノを弾く方はなんとなく解ってくださるのでは。)


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小学3年の終わりくらいのこと。

ソナチネは小2の夏で卒業し、
ソナタも簡単にやってすっ飛ばし、

私の先生が、私だけのために選んだ、カリキュラムは
バッハの「インベンションとシンフォニア」だった。
(ハイドンとかシューベルトとか、そういうのは弾かせてくれていたけど、 
 メインの教材が「インベンションとシンフォニア」だったのだ)

子供の私には本当に本当に苦しい訓練だった。

…けれど、
「両手の筋肉をバランスよく鍛え、全ての指のコントロールを均一にする」
という目的があったから、
すごい我慢しながら頑張った記憶がある。

曲は嫌いじゃなかった。むしろ好きだった。
だけど、本当に本当に手ごわくて、奥が深くて、辛かった。


(間の時代は、複雑なので省略。またいずれ)


その後、とうに親元からも離れた16歳の頃、
バイト代で通っていた、新しいピアノの先生に
「たまちゃんは、本当はこっちのほうが向いているんじゃない?」
と、
ショパンの「幻想即興曲」を弾かせてもらえたときのこと。


愕然とした。


あれほど鍛えたはずの左右の手。筋肉のバランス。
苦しい苦しい訓練に耐えてきたはずの、あたし。
そんなものは土台に過ぎないと、思い知らされた。

あの、ダイナミックなのに繊細な曲を弾く感性を、
自分の中に育てる努力を怠ってきたのではないかと、怯えた。
楽譜を見るのが、怖かった。


だか、幻想即興曲を練習していくうちに、段々と、何かを「手が」理解した。

幻想即興曲は、聴き手に合わせて
弾き方を変えることができる、とても自由な曲なのだ。

確実な指の動き、音をコントロールできる筋力と持続力。
これがあって初めて、聴き手の心に、そして自分の心に
寄り添うような演奏を実現できるのだ。
 
そう思ったら、弾くのが、楽しくなった。
そうだ、あの訓練に耐えたからこそ今、あたしは自由に
この曲を弾けるんだ。

だったら、あたしにしか弾けないショパンを。
自信をもって。
上手くなくてもいい。精一杯のショパンをあたしは、弾きたい。


…今でも、介護に挫けそうなとき、あのときのことを思い出す。

下に紹介している本は、ショパンを割と本格的に、演奏してみたい人に
いいかなと思う練習本です。CDついてます。

私自身は、例の、あの、一曲ずつの楽譜で練習したのですけど、
アレ何ていいましたっけ?教えてはれうさん&偉い人!


珠玉のショパン名曲選〈幻想即興曲〉

ドレミ楽譜出版社

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◆追記(7/16)"三日でひとまわり"の、「バッハとわたし」にTBしました。

◆追記(7/19)"かっこうのつれづれ"「ミュージカル・バトン」にTBしました。

--5拍子のリズム、時々6拍子など挟む-- 明星『wind』

2005-05-03 04:55:46 | 音楽
※一部、改稿しました(6/23(木)13:07)

知名度は多分それほど高くないと思うのだが、明星『Wind』という曲があります。
 (多分「ワインド」と読むんじゃないかな…その方が面白いから。色んな意味づけ出来て)

3年近く前、アニメ『ナルト~NARUTO~』の初代エンディング・テーマだった曲です。
一人でいられる時間、掛けっぱなしにしていることが多いです。

当初、この曲の、拍子の取り方の微妙さが気に入った。
基調が5拍子の曲は珍しい気がする。
少なくとも私は、演奏したことも歌ったこともないリズムだ。

『音楽とは、神様への捧げものとして「踊り」と「歌(声という楽器)」をその起源とする』
と、漠然と思っていた私。
だから、「踊りにくく歌いにくい」であろう5拍子というものが、
とても新鮮に感じられて
「ああこんな曲作ってみたい」などと妄想を繰り広げていた(笑)。

(音楽の発祥について、社会科学的根拠は踏まえていません
   ・・・浅学の身で繰り広げる推論に過ぎないのであしからず)

この曲は、8分の5拍子を基調としているが、八分の六拍子、乃至八分の三拍子を
絶妙なタイミングで挟みこんで進行する。

(因みに楽譜は、手に入れていない。三年前から欲しくてたまらないのだが)

軽快に感じられるメロディを、耳だけで覚えたつもりでいざ口ずさんでみると、
何故かうまくいかないのはそのためだ。
注意深く聴いて、徐々に正確に歌えるように、そして演奏できるようになる。

この曲は私を、チューニングしてくれます。
ちなみに、このCDに収録されいる曲で、
個人的に好きなのは、この「wind」のみです。

それでも、この一曲のために私は、このCDを入手しました。

不安定なリズムで踊り続けるような、そんな人生の場面にある人に、
踊りこなす勇気と楽しさを思い出させてくれるこのメロディを
一度聴いていただけたらと思います。

STONED TOWN
明星
インディペンデントレーベル

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シューベルトの『野ばら』

2005-05-01 04:03:45 | 音楽
アルツハイマー型痴呆の祖母(大体90歳くらい)が、
ドイツ語と日本語で毎日毎日歌い続けているのがこの曲。
私も勿論一緒に歌います。一日20回くらいかな(笑)

ちなみにドイツ語バージョンは、ウィーン少年合唱団のCDの中に収録されています。
これには「荒城の月」なども入っていて、私はとても気に入っています。
座って、紅茶でも淹れて、落ち着いて聞くのが吉。

日本語バージョンのCDも多分あるのでしょうが、私は良く知りません。
使われている日本語が、柔らかで心地よいんです。誰の訳なんだろう。
どなたかご存知でしたら教えてください。