じいたんばあたん観察記

祖父母の介護を引き受けて気がつけば四年近くになる、30代女性の随筆。
「病も老いも介護も、幸福と両立する」

祈り。

2005-05-21 23:59:32 | 禁無断転載
かみさま、
何処にいるか分からない、かみさま。
どうか あたしに ちからをください。
あいするひとたちの
こころを
尊厳を
お別れの朝まで
まもりぬく ちからを。

わたしが
もっている武器といえば 
この からだと
この こころ
そして 
人様が恵んでくださる、愛。

ほかには なにもない
すっぱだかのまま いざ 勝負。

介護は、負け戦。
死に向かう大事な人に何もできない
そんな自分と戦い
そして、求めうる限り類まれなラスト
「いつかくるお別れの朝」
を目指して、
負けを受容して闘う、
そこに稀有な光を生み出すことを誓って。

かみさま、どうか私にちからを。

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まだ若かったころ、
お金を稼ぐことなんて
そんな大事なことじゃないって
ずっと思っていた。
ささやかでも静かで安寧な生活と、
口を糊するお金があれば
それで十分だと思っていた。

でも、それは間違いだった。
護りたい人が出来たとき、
ほんとうに彼らに、安らぎを与えたければ
愛情だけじゃだめなんだ。

かみさま、あたしは今、
若いころあれほど憎んでいた
権力というものを切望します。
お金を作り出す力を、渇望します。

愛するひとたちに、無償の愛を捧げたい。
それができなければ、あたしにとって
人生は何の意味ももたなくなってしまう。

馬車馬みたいに働く。
力を、手にしてみせる。

いずれやってくる幕切れを
この上なく幸福なものにするために
かみさま
何処にいるのか分からないかみさま
そっと見守っていてください

※また書き直すかもだけど、とりあえず。